おねがい、避けないで

同じクラスの委員長の香澄ちゃんに片想い中の萩原くんが本当は分かってるくせに「ここ分かんないから教えて」って勉強を教えてもらって少しずつ仲良くなるんだけど、元カノやら友人やらのせいで「私のこと、からかって楽しんでたんだね」って泣かれて盛大なすれ違いの末にお付き合いする話。

「これ教えて欲しいんだけど、いい?」って教科書を持って香澄ちゃんの所に来ては勉強を教えてもらって「あ〜!そういうことか!マジで助かった!ありがとう、香澄ちゃん」って笑う萩原に、当然香澄ちゃんも少しずつ慣れていく。

「萩原くん、これ前言ってた本。良ければ、どうぞ」って自分から萩原が気になるって言ってた本を貸してあげたり、香澄ちゃんも萩原のことがちょっと気になってきてたんだけど、そんな時に萩原の友達とか元カノたちのいるグループに「研二がアンタみたいなの本気にする訳ないじゃん」「いや普通に釣り合ってないでしょ」「何日で落とせるかって賭けてんだよ、俺ら」って楽しそうに笑いながら言われる。

萩原はそんな酷いことする人じゃないって思いたい気持ちと、そんなこと言われなくたって分かってるって気持ちが交錯しちゃって、ぽろぽろ泣きながら走って逃げ出しちゃう。

その先でどん、って萩原とぶつかっちゃって「わ、ごめんっ…!…香澄ちゃん…?ない、てる…?」って萩原が目を見開いて手を伸ばすけど「やめて、さわんないで」って香澄ちゃんにその手を振り払われる。

「私のこと、からかって楽しんでたんだね」って静かにはらはらと涙を流す香澄ちゃんの言ってる意味が分からなくて「どういう…こと…?」って萩原が首を傾げる。

「どうせ、本気じゃないんでしょ…?私と萩原くんじゃ、釣り合わないもんね」って香澄ちゃんが言うから「ちょ、ちょっと待ってよ…!何の話?誰かに何か言われたの?」って萩原が慌てて声を上げる。

でも、それすら誤魔化したいようにしか見えなくて「まんまと好きになっちゃって、ばかみたい。賭けは、萩原くんの勝ちでいいよ」って言いたいことだけ言って返事も聞かずに走って逃げ出しちゃう。

泣いて、泣いて、泣きじゃくって。次の日も、その次の日も、学校を休んで一人で部屋の中で泣きじゃくる香澄ちゃんがいる。香澄ちゃんが休みの間に「良かったね、研二。あの勘違いちゃん、ようやくバイバイできて」って笑いながら絡まれて「……は?まさか香澄ちゃんにくだらない話したの、お前ら?」ってバチ切れする。

あの日の出来事を無理やり聞き出して「〜〜ッ、陣平ちゃん!!俺腹痛いから早退!!先生に言っといて!!」ってドタバタ教室を飛び出していくから「もうちょい体調悪そうにしろよ」ってけらけら笑った松田に見送られる。

一度だけ送ったことのある香澄ちゃんの家まで来てチャイムを鳴らせば「…はい、」って小さな声が聞こえて「俺、萩原だけど、…っ香澄ちゃん、おねがい。あいたい」って心の声が零れ落ちる。

返事は無くて、やっぱりダメかって思ったら玄関の扉が開いて香澄ちゃんと目が合うから我慢できずに抱き締める。「本気だよ、本気で好き。大好き。釣り合ってるとか釣り合ってないとか、そんなのどうでもいい。真面目で、優しくて、恥ずかしがり屋な香澄ちゃんが大好きだよ。おねがい、避けないで。もう一回、好きって言って」ってなりふり構わず香澄ちゃんに思いをぶつける萩原に、香澄ちゃんの頭はパンク寸前。

「へっ、ぇ…っぅあ、え…っ、?」って混乱しながらも、何とか萩原の言葉を飲み込んで、理解して、じわじわ顔が熱くなる。「俺のこと、好きになってくれたんだよね…?」って両手で頬を包まれて「っ、ぅ…うん…」って頷けば「すきって、いって…?」って微笑みかけられるから「す、すき…」って震える声で呟けば、眦を下げてとろりと微笑んだ萩原が「おれも、だいすき」って笑ってそのままちゅうってキスしてくるから、今度こそキャパオーバー。

ぷしゅう…って真っ赤な顔で気を失っちゃった香澄ちゃんに「え゛っ!?ちょ、香澄ちゃん!?」って大慌てで部屋に運んで、その流れで何故か香澄ちゃんのお母さんにも挨拶をすることになっちゃって本気でテンパってる萩原がいる。

「あらあら、香澄が失恋したってわんわん泣いてたのは貴方のことだったのね」ってくすくす笑いながらお母さんに言われて「や、あの、その…娘さんを泣かせてしまって、すみません…」って頭が上がらない萩原くんの姿が見れるよ。
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