いや普通のでいいわ

香澄ちゃんがスマホを耳に当てて困った顔してるから「どうした?」って聞いたら「今日のパンツ何色って聞かれた」って言うから「貸せ。俺が代わる」って言ってスマホを受け取った松田が電話の向こうの変な奴に向かって「黒地にピンクのハート柄ァ!!!」って叫んで電話切るから笑っちゃう。

「ふふ…っ、ふふふ、あはは!」って声出して笑っちゃう香澄ちゃんの頭にビシッとチョップをしながら「さっさと切れよ。律儀に対応すんなバカ」って眉間に皺を寄せる松田からスマホを受け取って「タイミング見逃しちゃって。でも陣平くんのお陰で、ふふっ…助かったよ。ありがとう」って思い出し笑い。

「ほんとに履いてるの?」って聞いたら「お前が買ってきたヤツだからな」って言いながらスウェットの腰の部分をちょっと下げて履いてるパンツを見せてくれる。前に酔っ払ってふざけて買ったやつなのに、ちゃんと履いてくれてて嬉しいのと恥ずかしいのとで微妙な顔になっちゃうよね。

「それ仕事の時も履いてるの…?」って言う香澄ちゃんに「普通に履いてっけど」ってケロッとした顔で返してくるから「んぇぇ…陣平くんのセンスがヤバいみたいになってない…?平気…?」って聞いたら「野郎共にセンス良いとか思われても嬉しくねぇよ」って嫌そうな顔で香澄ちゃんの頬を両手でうりうりしてくる。

「お前が笑ってくれんなら何でもいいんだよ」って笑って鼻の頭にちゅってキスをしてくる松田をぽかんとしながら見つめれば「さっきみたいな電話、来たらすぐ言えよ」って優しい顔で言われて「……うん。ありがと」ってふにゃっと笑って頬に当てられた手に香澄ちゃんが擦り寄る。

「今度はもっと可愛いパンツ買ってあげるね」って言う香澄ちゃんに「いや普通のでいいわ」ってツッコミを入れるんだけど「だって黒とか紺とかばっかりで楽しくないんだもん」って香澄ちゃんが言うからよく分からない。

「パンツに楽しいもクソも無いだろ」って言えば「可愛いやつだとテンション上がるじゃん」ってふんふんご機嫌そうに鼻を鳴らしながら言ってくるから「へーへーさいですか」って好きにさせる。

「これとかどう!」ってネットで松田のパンツを真面目に探してる香澄ちゃんが可愛いから、もうサイズさえ合ってれば柄とか何でもいいやって思ってるし、どんだけ柄じゃないデザインでも香澄ちゃんが買ってくれた物は絶対履く松田がいる。
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