情報量が多すぎだろ

酔っぱらってふらふらと歩いている時に誰かに追われている様子の綺麗な顔の男の子に出会ったもんだから丁度いいやと思って「ちょっとヤケ酒付き合ってよ」って強引に行きつけのバーと、そのバーに併設してるホテルの部屋に連れ込んだら命の恩人になってしまった香澄ちゃんと諸伏の話。

「本当に、ありがとう」って頭を下げられて二日酔いの頭で「……え、あ、うん…?ん…?」って状況整理が出来ずにいれば「詳しいことは話せないんだけど、君のお陰で俺は命を救われたんだ。本当に、ありがとう」って言われて「よくわかんないけど、うん、何でもいいよ…あたまいたい…」って考えることを止めてベッドに倒れ込む。

間違いは起こしていないが、困った顔をする諸伏の前で浴びるように酒を飲んで散々元カレの文句を言ったことは間違いない。お礼を言わないといけないのは、どちらかと言うとこちらなのでは…?って思いながら、ガンガン痛む頭を抱える香澄ちゃんがいる。

「色々落ち着いたら、ちゃんとお礼がしたいんだけど、連絡先って聞いてもいい?」って諸伏に言われて「好きにして」ってロックを解除したスマホをぽいっと放り投げれば慌てた様子でそれを受け取った諸伏が眉間に皺を寄せる。

「俺が、悪い奴だったらどうするんだよ。昨日もだったけど、もう少し危機感持った方が……」って窘めるように言ってくる諸伏の言葉を遮って「命の危険が迫るようなことして追いかけ回されてた人に危機感とか言われたくないんですけど」って返せば、諸伏がぐっと言葉を飲み込む。

「ほんとに悪い奴は良い顔しようとするし、昨日私に手出さなかった時点でそこそこ信用できる人だと思ってるんだけど。何?悪い人なんだ?」ってニヤニヤ笑いながら諸伏を見る香澄ちゃんに「……まあ、悪い人と良い人の半分ずつって感じかな」って返せば「あはは、じゃあ大丈夫だよ、私運いいもん」って香澄ちゃんが笑うから毒気を抜かれちゃう。

香澄ちゃんの電話番号を暗記して、香澄ちゃんにスマホを返した諸伏が「非通知でかけるから。電話、ちゃんと出てね」って言って笑えば「気が向いたらね」って香澄ちゃんが言う。

そのまますうすう寝息を立て始めた香澄ちゃんの頭をそっと撫でてホテルを出た諸伏は迎えに来てくれた降谷と一緒にセーフハウスに戻るんだけど「で?助けてもらったってどういうことだ?」って首を傾げた降谷に「妻子持ちの男の三股相手の一人だったことに気付いてヤケ酒してた危機感ゼロの女の子にナンパされてホテルで一晩過ごしてた」って諸伏がくつくつ喉を鳴らして笑いながら返すから「待て待て待て、情報量が多すぎだろ」って降谷が頭を抱える。

それすら面白くて声を上げて笑っちゃうよね。うっかり諸伏を助けちゃった香澄ちゃんに一目惚れした諸伏がこれからガンガンアピールしたり、そんな女止めろよって嫌そうな顔をする降谷がいたり、別にそんなに好きじゃないけど顔は良いからまあいっか…みたいな相変わらず危機感の無い香澄ちゃんの三人が繰り広げるドタバタラブコメ。
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