一回は一回だろ

「ちゅーするんだろ?」って笑いながら近付いてくる降谷に「〜〜ッしない!」って香澄ちゃんが真っ赤な顔でぴゃっと逃げる。そんな姿をくつくつ喉を鳴らして笑いながら一旦は見逃してくれるんだけど、気付いたら壁際に追い詰められてて、目の前は壁、背後は降谷で逃げ場がなくなっちゃう。

「ちゅー、しないのか?」って後ろから抱きすくめられて、耳元で囁かれるから「……いっかい、だけ」って小さな声で香澄ちゃんが呟けば、顎に触れた手に無理やり後ろを向かされていきなりちゅ〜〜って深いキスをされて、そのキスだけで腰抜けちゃう。

「い、いっかいって、いっかいっていった…!」って抗議の声を上げれば「だから一回だけだろ」って鼻で笑われるから「ち、ちが…!」って思わず声をあげる。「ちが、ちがうじゃん…!」って言う香澄ちゃんに「何が違うんだよ。一回は一回だろ」って降谷がきょとんと首を傾げるから「ちゅって、触れるだけのやつ…!」って香澄ちゃんが文句を言う。

「それは君の中の一回だろ。僕の一回はさっきのだ」って言われて「へ、屁理屈じゃん!」って言えば「君の言い分も屁理屈だよ」ってくすくす笑った降谷がちゅってキスをしてくる。突然のキスに目をぱちぱちさせてれば、さっきより少し長めにちゅうってキスされるからようやく我に返った香澄ちゃんが真っ赤な顔で「〜〜ッ零くん!!!」って怒る。

胸元をびしびし叩いてくる姿が可愛くて「はははっ!ごめんごめん、君があまりにも可愛くて」って降谷が楽しそうに笑って「もうしないよ」って降参、と言わんばかりに両手を挙げる。

その後本当に全然キスしてくれなくなって香澄ちゃんの方がそわそわし始めて「ねぇ、零くん…」ってちょこん、と降谷の服の裾を掴む。「ん?どうした?」って首を傾げる降谷に「ほんとに、ちゅー、しないの…?」って香澄ちゃんがしょんぼりしながら聞くから「君が嫌じゃないなら」って降谷が優しく頭を撫でてくれる。「いやじゃ、ないよ」って呟いたが最後、ぱくっと食べられる。
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