絶対に俺が迎えに行く

※ちょっと注意※

取り押さえた犯人が松田を見て「は、ははっ…お前、こんなとこで俺に構ってる暇あんのかよ」って笑うから「あ?何言ってんだテメェ」って眉間に皺を寄せたら「香澄ちゃんだっけ?ハハハッ!今頃酷い目に遭って無いといいなァ」ってけたけた笑い出すからぞわりと鳥肌が立つ。

「テ、メェ…ッ!ふざけたマネしてんじゃねぇぞ!」って男に向かって拳を振り上げた松田を慌てて伊達が止めて「待て!松田!気持ちは分かるが、コイツをぶん殴るよりも香澄ちゃんの方が先だ」って怒りを押し殺しながら言うから、盛大に舌打ちをした松田が立ち上がる。

「アイツに何かあったら、俺がテメェをぶっ殺す」って男を睨みつけた松田の目が、あまりにも本気で先ほどまでへらへら笑ってた男が息を飲む。そんな男に目もくれずに香澄ちゃんに電話をかけた松田だったけど、何度かけても香澄ちゃんは電話に出てくれない。

メッセージを送っても返事は無く、焦りだけが募っていく。香澄ちゃんに何をしたのかと、伊達がどれだけ男に聞いても男は「俺は何も知らない」の一点張り。どうやら指定時間までに自分から連絡が無かったら香澄ちゃんを好きにしても良いと言う話をしていただけで、どこで何をするつもりなのかは知らないのだと言う。

あまりの責任の無い発言に松田が「これ以上喋んな。次に喋ったらマジで殺す」って男を睨み付けて再び香澄ちゃんへ電話をかける。そのまま伊達に向かって「ここは頼む。後で連絡する」って告げて走り出した松田が向かったのは香澄ちゃんの家。

この時間なら、もう家に帰ってきている可能性が高い。知らない人が訪ねてきても絶対に扉を開けないようにと言い聞かせているから、家の中にいるなら幾分かは安全だ。

「香澄!!いるか!!」って叫びながら扉を開けた松田だったけど、室内はまだじわりと暑く、香澄ちゃんがまだ帰ってきていないと分かるなり部屋を飛び出した。次に向かったのは香澄ちゃんの職場。

何度か顔を合わせたことのある香澄ちゃんの同僚を見つけ声をかければ不思議そうな顔をしながら今日はもう帰ったと返されて、舌打ちを零しながらもお礼を言って再び走り出す。

そんな松田の元にかかってきたのは降谷からの電話だった。「悪い、ゼロ。今忙しいんだ、後にして…」って電話を切ろうとした松田を遮って「香澄ちゃんの居場所が分かった!!先にヒロと萩原を向かわせてる!!位置情報を共有するからお前もすぐに向かってくれ!!」って降谷が声を張り上げる。

降谷から送られてきたのは、ここからそう遠くない場所にある廃ビルの住所。なりふりなど、構っていられなかった。「さすが、ゼロ。助かるぜ」ってスマホを握り締めて駆け出した松田が廃ビルに到着すると、萩原と諸伏に支えられながらビルから出てくる香澄ちゃんの姿が目に入って「香澄!!!」って悲鳴にも似たような声で名前を呼ぶ。

ハッと顔を上げた香澄ちゃんの目が松田を捉えてすぐにくしゃりと顔が歪む。「じ、ん…っぺい、」って伸ばされた手を取って思い切り抱き締めれば、香澄ちゃんが松田の腕の中でかたかた震えながら涙を流す。

「陣平…っ、じん、じんぺ…っ、」って何度も名前を呼んで必死に縋りついてくる香澄ちゃんを抱き締める松田の手もかたかたと震えていて。「よか、った…っ、わるい、怖い思いさせて、悪かった…!」って松田が香澄ちゃんの存在を確かめるように頭をぎゅっと抱え込む。

良かった、と言わんばかりの安心したような顔で松田と香澄ちゃんを見つめる萩原と諸伏に視線を移した松田が「お前らも、サンキュ。今回は、マジで、助かった」ってホッと息を吐いて泣きそうな顔で笑う。

「何言ってんの。当たり前でしょ」って萩原が肩を竦めて笑って「香澄ちゃんが無事で、本当に良かったよ」って諸伏も優しく笑う。どうやら自宅への帰り道で攫われて、廃ビルに閉じ込められていたところを萩原と諸伏に助けられたらしく、大きな怪我などは無かったらしい。

「念のための検査があるから病院には行かないといけないんだ。松田、着いていってあげて」って諸伏に言われて、香澄ちゃんと一緒に救急車に乗り込んだ松田が香澄ちゃんの手をぎゅっと握り締める。

「俺のせいで…っ、ほんとに、悪かった」って苦しそうな声で言う松田に「陣平が私のこと攫えって命令したの?」って香澄ちゃんがムッとした顔で首を傾げる。

「は…?んなこと、するわけねぇだろ…」って何を言っているのか分からないと言わんばかりの顔で香澄ちゃんを見返す松田に「じゃあ陣平が謝る必要ないでしょ」って香澄ちゃんがあっけらかんと言ってのける。

「どんな理由があっても、誰かを傷付ける選択をした人が間違えているのであって、理由を作った人は悪くないよ」って香澄ちゃんが松田の手をぎゅっぎゅっ、って握り返してふんわり笑う。

「汗だくになりながら、走って私を探してくれた陣平には、感謝の気持ちしかないよ。ありがとう、助けに来てくれて」って香澄ちゃんが頬を赤く染めて松田の頬にキスを落とす。

ぽかんとしていた松田だけど、香澄ちゃんを見つめ返して「当たり前だろ。お前がどこにいたって、絶対に俺が迎えに行く」って柔らかく微笑んで香澄ちゃんの唇にキスを落とすんだ。
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