お前らやっとくっ付いたの?

厄介なナンパに絡まれて困ってたら後ろから伸びてきた手にぎゅっと抱きしめられて「俺のに何か用か」って松田の声が聞こえてくる。松田の登場にビビったのかすぐにいなくなった男を見送って「な、なんで…」って松田を見たら「あんなのまともに相手すんな」ってデコピンされちゃう。

「べ、別に、まともに相手してたわけじゃ…」ってもごもごしてれば「怪我は?」って聞かれるから「へ、平気」って返したら「ん、ならいい」って頭をぽんって撫でられる。松田のこういう優しい所がずっと好きで、でも素直になれなくて、ずるずる仲の良い友達の関係を続けていた香澄ちゃんだからこそさっきの松田のセリフが頭に残り続けてる。

「ハギ遅れるってよ」ってスマホを見ながら言う松田に「そ、っか」って何とか返事をすれば「熱あんのか?顔赤ぇぞ」って松田が怪訝な顔で手を伸ばしてくる。

手の甲で香澄ちゃんの額に触れて「熱は無そうだな…どっか入るか?」ってちょっと膝を折って顔を覗き込んで来る松田に「い、いい…だいじょうぶ、」ってふるふる首を横に振るけど、松田は納得してくれない。

体調が悪い訳じゃなくて、全部松田のせいだから「大丈夫って顔じゃねえだろ」ってため息を吐いた松田の指先をちょん、と握った香澄ちゃんが「いつから、まつだのになったの、わたし」って俯いたまま震える声で尋ねれば松田の目が見開かれる。

顔を上げることはできないし、松田の返事を聞くのも怖い。松田が息を吸う音がして、何かを話そうとしたのを遮って「な、なぁんてね!あ、ははっ、ちょっとのぼせちゃったかも。私、今日はもう帰るね…!」って声を上げた香澄ちゃんが松田に背を向けて歩き出す。

じわじわ涙が滲んで泣きそうになっていた香澄ちゃんの手首を掴んだ松田が「ッおい!待てって!」って手を引けば涙を流した香澄ちゃんがいて、松田は再び目を見開く。

「は、はなして…!」って必死に手を振りほどこうとする香澄ちゃんに「だから待てって!落ち着け!」って声を荒げた松田が香澄ちゃんを腕の中に閉じ込める。ひゅっと息を飲んで固まった香澄ちゃんの背中をとん、とん、って撫でて「まだ、何も言ってねぇだろうが」って松田が呟くけれど心臓はうるさいくらいに跳ねている。

「お前が、俺のになってくれたらいいって、ずっと思ってたのが出ちまったんだよ」って悔しそうな口調で言う松田に、今度は香澄ちゃんの目が大きく見開かれる。

「……へ、?」って目を瞬かせる香澄ちゃんに「…好きなんだよ、お前の事が。ずっと、前から」って頬を赤くした松田が仏頂面で言うから「す、きって、なん、で…いつから、」って香澄ちゃんもじわじわ顔が熱くなっていく。

「気付いたら好きだったんだよ。いつからとか知る訳ねぇだろ」ってぷいっとそっぽを向いた松田から目が離せなくて「っ、な、に…それ、」ってぽつりと呟けば「うるせぇ、気付いたら意味分かんねぇくらい好きになってたんだよ。何か悪いか」って開き直られるから香澄ちゃんの心臓もうるさいくらいに音を立てる。

真っ赤な顔で固まる香澄ちゃんの頬を指先でそっと撫でて「…おれのに、なって」って眦を下げて優しく笑った松田に「は、はい…」って香澄ちゃんは頷くことしかできない。

それから、遅れてやってきた萩原に「え、何?お前らやっとくっ付いたの?てか今?」って首を傾げられて、ずっと前からバレッバレの両片思いだったことが発覚するよね。
back/top