わたしも、なかよくなりたかった

ウインターカップが終わった翌日。黒子に呼び出されて向かったストバスのコートで紬を待っていたのはキセキの世代の皆だった。ひゅっ、と喉が鳴って指先が微かに震える。それを隠すために、きつく握り締めた手を背後に隠して「ひ、さしぶりだね、」って笑った紬だったけど、視線を泳がせて誰が見ても分かるほどに表情を強張らせた紬に全員の胸が痛む。

「〜〜ッ紬っち、ごめん!!違うんス、紬っちのこと、いらないなんて思ったこと、一度だって無いっスよ」「…毎日、俺たちのために汗水流して働いているお前が、心配、だったのだよ」「…だから、お前がそんなに頑張んなくてもよくなる方法ねーのかって、話してたんだよ」「決して、紬さんが役立たずだとか、いらないだとか、そんな話をしていた訳じゃないんです。誤解させるような言い方をしてしまって、本当にごめんなさい」

「紬ちんが辞めるって言った時、他のチームの奴らみたいに、もう俺たちのことなんかどうでもよくなったんだって、思っちゃったんだよね」「誰よりも一生懸命で、誰よりも俺たちのことを考えてくれていたお前が、そんなことをするはずが無いって。少し考えれば分かることだったのに、信じられなくて…すまなかった」「ごめんね、紬ちゃん。引き止められなくて…っ、ずっと、手を握ってあげられなくて、ごめんね…!」

皆の言葉に、紬が涙を我慢出来るわけが無かった。ぽろぽろと溢れ出した涙は、徐々に大粒の涙に変わって、紬の頬を濡らす。全部、全部、自分の勘違いだった。勝手にショックを受けて、勝手に落ち込んで、自分で自分の首を絞めただけだった。両手で顔を覆って、ぺたりと座り込んだ紬が泣きじゃくりながらも言葉を紡ぐ。

「わたしが、わるいの…っ、!信じる強さが足りなかったの…!勝手に嫉妬して、勝手に背を向けて、被害者面して泣いて…!ごめんなさい、わるいのはみんなじゃない、わたしが…っ、ごめんなさい、ほんとに、ごめんなさい…っ、!」って泣きじゃくりながら何度も謝る紬に、堪らず黄瀬が駆け寄って背中を撫でる。

「もっと、もっと早くに、ちゃんと話せば良かったんスよね、俺たち」って泣きそうな顔で呟いた黄瀬が、紬の肩を抱き寄せる。「俺たち、みんな、背中向けちゃったから…だから、ダメだったんスよね」って泣きそうな、震える声で言う黄瀬に紬がそっと顔を上げる。涙で濡れてぐしゃぐしゃになった紬の頬を両手で包み込んで、黄瀬が笑う。

「紬っち、いっぱい話そう。今までのことも、これからのことも。紬っちが思ってたこと、思ってること、全部教えて。おれたちも、いっぱい話すから。だから、紬っちのこと、もっと教えて。ね、?」って涙を流した黄瀬に紬の目から再び涙が溢れ出す。

「うん…っ、うん…!はなす、はなしたい、わたしも…、みんなのこと、しりたい、」ってぽろぽろ涙を流して頷いた紬に、今度は桃井が抱き着いて「紬ちゃん、ごめんね。いっぱい、いっぱい寂しい思いさせて、ごめんね。ほんとは、もっといっぱい話したかったの、仲良くなりたかったの。まだ、遅くないかなぁ…?」ってぽろぽろ涙を流す。

「おそくない、わたしも、なかよくなりたかった、ちゃんと…っ、ともだちに、なりたかったぁ、」って2人でわんわん泣いて、抱きしめ合う姿を見て、黒子の瞳にも涙が滲む。もっと、もっと早くに話をするべきだった。もっと、もっと沢山、話をして歩み寄らなければいけなかったんだ。過ぎてしまった時間は戻らない。それでも、これから先の未来は、いくらだって変えていけるから。
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