理屈じゃねぇんだよ

「ヤバくない?俺の彼女、超可愛くない?死ぬまでも、死ぬ時も、死んだ後もずっと一緒がいいんだって」ってデレデレと笑う萩原に全員が「…あぁ、そう」って遠い目をする。

「俺、コイツが香澄と再会した時一緒にいたんだけどよ…アイツも大概おかしい奴だったんだよな」って松田が呟いて「……何となく、そんな気はしてた」って降谷が頷く。

「お互い好きってのは伝わるんだけど…なんつーか、なぁ…?」って微妙な顔をする伊達の隣で「何か全体的に重いよね。好きって言葉だけで片付かない感じ」って諸伏も苦笑いを零す。

重すぎる感情を抱えている萩原が、もし香澄ちゃんに受け入れてもらえなかったら…を考えて、最悪の想定をしていた降谷たちにとって、香澄ちゃんが萩原に向ける感情の重さは想定外だった。

「一方通行だったらって心配してたけど、全然そんなこと無かったもんなぁ」って苦笑いのままグラスを傾けた諸伏に「一方通行?」って萩原がきょとりと首を傾げる。「お前と同じだけの感情を、あの子が持っているとは限らないだろ」って肩を竦めた伊達に「あははっ!あぁ、そういうこと?」って萩原が声を上げて笑い出す。

「絶対無いって分かってたよ、俺」って瞳の奥を濁らせて微笑んだ萩原がグラスを傾ける。「絶対って…7年も会ってなかったのにか?」って降谷が怪訝な顔をすれば「うん。俺があの子を死ぬほど愛してるのと同じで、香澄ちゃんも俺の事、死ぬほど愛してるもん」ってゆるゆると頬を緩めるから「だからその根拠が無ぇって話をしてんだろうが」って松田が眉間に皺を寄せて嫌そうな顔をする。

一貫して言葉も態度も揺らがない萩原に全員が首を傾げれば「こういうのは理屈じゃねぇんだよ。俺が香澄ちゃんを信じてるから、香澄ちゃんも俺を信じてくれんの。俺が香澄ちゃんを全身全霊で求めるから、香澄ちゃんも俺を全身全霊で求めてくれんの」って萩原が心底嬉しそうに眦を下げて甘く微笑む。

「一方通行になんて、させる訳ねぇじゃん」って笑った萩原にこれ以上何かを言うのは野暮だろうと、全員が顔を見合わせてしょうがないな、と言わんばかりの顔で肩を竦める。

「ま、何はともあれ幸せそうで良かったよ」って降谷が笑って、松田たちも同じように頬を緩めて笑うから、一瞬きょとんとした萩原が「おう!」って小さな子供のように無邪気に笑った。
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