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濡れた竜也の体を覚が綺麗に拭き、着替えさせ、ベッドに寝かせた。
顔は相変わらず青白く、貧血から来るものと疲労からだと医者から伝えられる。
「白川と言っていたんだね?なら、神子と同じく異国民の可能性が高いよね。…でも二人も同時に召喚される事ってあるの?」
スイレンが顎に指を添え、考えあぐねる。
ギョクレンは竜也が寝ているベッドに背を向けた状態で椅子に座っており、刺客じゃなかったのかと苦虫を噛み潰すような表情をしていた。
「神子の名前を聞いてないから、本当に知り合いなのかわからない所だけど、どっちか先に起きた方に確認するしかないよね」
小さな溜息をつき、スイレンは竜也を見つめる。
まだ年端もいかない子供。
覚が体を綺麗に拭いて着替えさせる時にちらっと見えた体は細くて華奢でいて、庇護欲を掻き立てられた。
それと同時に綺麗な乳首をしており、項いっぱいに付けられたキスマーク。
こちらの世界に来る前に、体を売るような事をしていたのだろうか。
こんな小さな子供なのに、そうせざる得ない状況に胸が傷んだ。
と同時に色気を感じ、変な気持ちになってしまったのには罪悪感しかなかった。
首に巻かれた包帯が痛々しい。
弟の入浴中に侵入、または召喚されたのには同情するしかなった。
よりによってギョクレンとは。
疑り深く、人を殺す事に迷いのない双子の片割れに視線を向ける。
自分だったら、きっとこうはなっていなかった。
ギョクレンと違って、武術にこそたけてないが、残忍でもない。
いや、そうではないか。
ギョクレンと違って腹黒く、自分の思うままに動かせるから、殺すのは利用して必要無くなった時で良いと思うからだ。
ギョクレンはその点、わかりやすく裏表がない。
必要か必要じゃないかなと考えず、殺すか殺さないかしかない。
どちらに舞い降りて来ても結果は変わらなかったかもしれない、など思うのだった。
「スイレン様、神子様がお目覚めになられました」
覚からの言葉に、スイレンとギョクレンがすぐさま姫乃の所へ向かう。
「同じ顔が二つ!めっちゃ美人!!ここはイケメンしか存在しないのか、目の保養が凄い!!」
起きた早々から、訳のわからない事を言う姫乃。
ギョクレンは初対面だから、面食らう。
寝てる時は儚げの美人だった為に、こんな変な性格だったとは。
「神子、名前を聞いてもいい?」
スイレンの言葉に、姫乃は自己紹介すらしてなかったのかとベッドから起き上がり、その場で正座する。
そして深々と頭を下げ、自己紹介したのだった。
「白川姫乃、17歳、岸部さんのバックバージンを狙ってます!多分、こことは違う世界から来たから、トリップしたらしい」
覚のバックバージンとか、トリップとか、意味のわからない事を言う姫乃にギョクレンがスイレンに視線を向けた。
「言いたい事はわかるよ。うん、ちょっと変な子なんだ…気にしないで。それよりも白川って言ったよね?」
「言ったな…。あの異国民が言っていた事はうそじゃなかったんだな」
スイレンとギョクレンの会話に、姫乃が耳を傾ける。
「何が?」
キョトンとした顔のまま、尋ねる。
顔だけ見れば、本当に美しい。
これで男だったら、引く手あまただったろうに。
勿体無いと双子は同時に思う。
「神子と同じ世界から来たと言ってる子供がいるんだけど、知り合いかな?」
その言葉に姫乃の目が大きく見開く。
そして勢い良く立ち上がって、走り出した。
「ちょ、おい!!!」
ギョクレンが慌てて止めようとするが、姫乃の足は早く、取り逃がしてしまう。
「ちょっと神子!!」
スイレンも慌てて追いかけ、ギョクレンに至っては青筋を立ててキレていた。
姫乃は物凄い速さで走り、竜也を探す。
自分を守る為に助けてくれた、心優しいきクラスメイトの姿を思い出し、目が少しだけ潤んだ。
神社の孫だとは聞いていた。
あの時、一緒に落ちた時に結界を張ってくれたから、無事でいる事が出来た。
自分が井戸にさえ近づかなければ、きっと彼は巻き込まれずにすんだ。
音が聞こえていたのは姫乃だけだったのに、勝手な行動をして竜也を道連れにしてしまった。
ずっとそれたけが心残りで、この世界にトリップしてラッキーって喜んでたけど、心の片隅に引っかかってたのだ。
「黒野くん!!」
姫乃の必死な声を聞いて、スイレンが驚く。
どんな時もふざけており、楽しんでた姫乃。
そんな姿しか見てなかったから、必死に彼を探してる姿に驚きが隠せなかった。
2024.10.02
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