tori


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覚が声を聞き、姫乃に竜也が寝ている部屋を説明している途中でもう姿が見えなくなった。
あんな必死な表情は初めてであり、二人は物凄い絆で結ばれているのかもしれないと感じる。
その後に、スイレンとギョクレンが走って来る。
息を切らし、姫乃が部屋の方に向かった事を告げた。
二人は何て速さだと苦しそうに顔を歪め、竜也のいる方へと再び走って行く。

「黒野くんっ…!?」

姫乃の悲痛な声が聞こえ、竜也の首に抱きつき泣いていた。
初めて聞く嗚咽に、スイレンとギョクレンの顔に影が走る。
平然そうに見えて、実はとても心細かったのだろう。
竜也の首の包帯を見て、もっと涙を流した。

「ワシのせいだっ…!!ごめんね、…ごめんねっ!!」

わーっと号泣する姫乃にギョクレンが悔しそうに舌唇を噛んだ。
あの傷は自分が付けたもので、姫乃の様子から二人はとても親しい関係なのだろう。
もし、スイレンが同じように傷つけられたら。
こんな風にした奴を殺したいと思うだろう。
今更ながら、罪悪感に包まれたのだった。
スイレンは姫乃と竜也を二人っきりにさせるべく、ギョクレンへと視線を向ける。
暗黙の了解で、互いに何を思い、感じてるのか手に取るようにわかった。
二人は足音を立てないよう、その場を離れたのである。

覚が用意してくれたお茶を飲み、終始無言。
よくわからないが、姫乃の泣き声が耳にへばりついて離れない。
あんなに肩を震わせて、たくさん涙を流して、痛々しい姿にギョクレンの胸が痛む。

「……あれだね、俺達とは違う世界から来たんだなって…改めて思ったよ。俺達には当たり前の光景だし、ギョクレンがした行動も正しかったよ。けど…あんな風に女と言う生き物は泣くんだと思ったら、居た堪れなくなったね…」

手に持ったティーカップを見つめ、スイレンが話す。
それをギョクレンがただただ静かに聞いていた。
そう、ギョクレンの行動は間違っていない。
刺客だと思って排除する、それはまごうことなき正解だ。
なのに、何でなのだろう。
胸を張って言えないのは。
子供に手をかけてしまった。
それも無抵抗な人間に対して。
この世界の者じゃなければ、あの時なすがままだったのには頷ける。
きっとこの世界とは違って、平和な所から来たのかもしれない。
わかっているのに、わからない。
自分がここまで生きて来て、将軍になるまで必死に頑張って来た事が無意味だなんて思いたくなかった。
けど、姫乃の泣き声を聞いて思ったのは、申し訳ないの一言だったのてある。
自分を正当化しようとしても出来ないのが歯痒くて仕方ない。

「彼が起きてから、じっくり話を聞こうか」

スイレンの言葉に、ギョクレンは叱られた子供のように小さく頷くだけだった。


何だかんだ言うてもヒロインは女の子。生き生き楽しくしてるようだったが、不安はあったと言う所を少しだけ書きたかった(笑)


2024.10.02

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