喰われたのはこっち
「ん…」
暑苦しさに目を覚ますと、いつもと違う景色が並んだ。
「はぁ……?」
天井に見えるのは自分を映した写真の数々と、引き伸ばされたポスターじみたもの。
どれも隠し撮りと言うやつで間違いなかった。
「え、は……?な、何…?」
結愛は戸惑いながら辺りを見回す。
すると横には真琴が寄り添うように寝ており、自らの足元には先ほどの転校生が頭をベッドにつけ、体だけを床に下ろした状態で座りながら寝ていた。
(え、怖っ!!?何これ、何で二人がいるんだよ!?しかもここ、どこ…!?)
結愛がパニックを起こしていると、部屋のドアが開いた。
「っ!!?結愛様っ…!!」
玄心がとても驚いた様子で、結愛の元へと駆け寄る。
そして真琴や恭介を起こさないよう、ゆっくりとベッドから抱き起こした。
「へ…?」
結愛をお姫様抱っこすると、その耳元でお静かに願います、と小さく囁いた。
それだけで結愛の体がピクリと揺れ、低く優しい声にどくりと胸が高鳴る。
何と良い声なのだろうか。
まるで口説かれたような感覚に陥り、思わず唇をきゅっと噛み締めた。
結愛が顔を赤く染め、目を大きく開けて戸惑う姿はとても可愛らしく、玄心が蕩けるような笑みを浮かべる。
「二人が起きてしまうと大変ですから、どうぞこちらへ」
そう言って決して軽くない自分を軽々と結愛を持ち上げる逞しい腕と硬い胸板に再び胸が高鳴る。
玄心の言う通り、真琴が起きると厄介なので結愛は素直に頷いた。
そのまま共同スペースのソファーにゆっくりと降ろされる。
だが、いかんせん。
降ろした場所はソファーで合っているのだが、玄心が座った更にその膝の上に座らされたではないか。
横抱きにされたままな為、綺麗な玄心の顔が目の前にある。
そして優しい瞳で見つめられれば、まるで自分はおひめさか何かなのかと錯覚さえ起こす始末。
とにかく恥ずかしくて堪らない。
(…え、つか、何で俺、織田の膝に座ってるんだ!?……あれ?これって座る必要あったのか?ソファーに直接座れば、良くないか?)
結愛が混乱してる中、玄心はずっとその様子を見ていた。
その瞳には熱が宿り、更には愛しさで満ち溢れているではないか。
その視線に気づき、結愛の心臓が本日何度目かと思う程に音を立てる。
熱い眼差しから目が逸らせない。
二人はしばらく見つめ合っていたのだった。
「結愛様がご無事で何よりです」
玄心の労るような優しい声が響いた。
「俺、何で…?」
結愛は自分が何故ここにいるのか、どうしてその経緯に至ったのかわからずにいた。
「結愛様は恭介を助けようと下敷きになり、頭と背中を打って脳震盪を起こしてしまったのです。ご気分はどうでしょうか?気持ち悪いなど、ございませんか?」
とても心配そうに訪ねる玄心に、申し訳ない気持ちと、感謝の気持ちが同時に押し寄せてくる。
「…ん、大丈夫だと思う。もしかして吐いたりしないか、看病してくれてたのか…?」
結愛の言葉に、玄心は満面の笑みを浮かべた。
「はい、私にはそれくらいしか出来ませんから」
その言葉に結愛の心がジーンと暖かくなる。
「ありがとう、もう大丈夫だと思う」
そう言って改めて自分の格好を見て、目玉が飛び出るかと思った。
何故なら、玄心の膝の上に乗ってる事ですら異様な体勢なのに、自分は今ワイシャツ一枚しか着ておらず、綺麗でもない太股が剥き出しなのだから。
「え、あ、何だこれっ…、え、ちょっ…?」
結愛は顔を真っ赤にして、ワイシャツの裾を伸ばそうと必死に引っ張る。
「そのように引っ張ってはボタンが取れてしまいますよ」
そう言って玄心が結愛の手を掴んで、止めさせる。
案の定、引っ張りすぎたのかボタンがパチンと外れ、床にコロコロと落ちてしまった。
すると先程まで見えなかった胸元が露になり、結愛の桜色をした胸の飾りが顔を出す。
玄心からもその綺麗な形と色がはっきりと見え、どちらともなくはっとしたように目を大きく見開いた。
「あ…」
結愛が顔を真っ赤にし、慌てて胸元を隠そうと手を伸ばした。
たが、それは玄心の手によって叶う事はなかったのだ。
「結愛様…、あなたって方は…。どこまても私を夢中にさせて…何と無防備なのでしょうか」
玄心はそう言って、喉の鳴らした。
ぷっくりとした乳首から目が離せない。
むしゃぶりついて、舌の上で転がして、啼かせたい。
自分だけのものにして、閉じ込めてしまいたい。
毎日抱き潰して、快感を植え付けて、自分無しで居られない程に依存させたい。
「あ…、お、だ…」
結愛の目に映る玄心は欲情を隠しもせず、興奮したただの男の顔をしていた。
自分の乳首を見て、スイッチが入ってしまったのだろう。
恐ろしい程にこれから自分が何をされるのか理解してしまった。
「あ…、ダメ…」
結愛が止めるも虚しく、抵抗の為に伸ばした手を軽く掴まれる。
「っ…!?」
目をすっと見開き、欲情を隠しもしない瞳とぶつかった。
「逃しませんよ」
玄心はそう言って、結愛の唇を自らのそれで塞いだのだった。
柔らかな唇の感触。
最初から貪るような口づけに、結愛は抵抗すら出来なかった。
「ん!?」
ゆっくりと角度を変え、玄心の手のひらが結愛の後頭部に回る。
逃がさないよう固定し、舌が結愛の唇をノックするよう何度もキスを繰り返した。
濡れた感触と触れた場所からジワリと熱がともる。
「んっ、…ふっ」
更にと口付けが激しくなり、結愛の意識がボーッとしてきた。
それを見計らって待ってましたと言わんばかりに、玄心は開いた唇の隙間から舌を入れる。
「んんっ…、ふぅっ、はむっ…」
結愛から洩れる甘い吐息に、自身の熱が中心に集まるのを感じる。
歯列をなぞり、奥に潜む舌を絡めとった。
甘い咥内に玄心の脳が痺れる。
ずっと味わいたい程に熱く、小さくて拙い動きの舌。
互いの唾液が混ざり合い、どちらともなく飲み込んで行く。
「んっ、はぁっ…っ」
するとおずおずと結愛からも応えるように、玄心のワイシャツをぎゅっと掴み、自らの意思で舌を絡ませたのだ。
「っ…!?」
それには玄心が驚きと同時に、嬉しさがこみ上げて行き、夢中で舌を味わって行く。
互いの舌がヌメヌメと絡まり合い、結愛は瞳から生理的な涙を流す。
それを玄心はキスを止め、こぼすのも勿体ないとばかりに舌で舐め取ったのだった。
2024.10.07
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