tori


皇帝の右腕


本日は念願の日曜日。
結愛は先週、恭介の騒動で買いに行けなかったパソコンを選びに学園の外である、市街地に来ていた。
昨日の夜に、永久にこの事を話したら、お守りだと言われてネックレスを渡されたのだ。

『僕がついて行けたら良かったのですが、生憎実家に帰らなければならなくて…』

そう申し訳なさそうに語る永久に、結愛は全力で頭を左右に振った。
自分の用事で行くのだから、危険は覚悟の上だ。
そもそも学園以上に危険な場所はあるのだろうか。
ホモやゲイで埋め尽くされ、日々強姦や暴力、制裁などが絶えない場所よりも安全じゃないかと思う結愛なのだった。
そして新しいパソコンが欲しい。
永久には申し訳ないが、一人になりたいのだ。
学校でも居室でも必ず側に誰かがいる。
独り暮らしをしていた結愛からしたら、贅沢な話かもしれないが窮屈で居心地が悪い。
この世界に来て、ずっと一人だと思っていたのが嘘かのように、気づけば結愛の周りには人が集まっていた。
それはとても嬉しい事だし、ありがたいとは思うのだが、正直たまには一人になりたい。
だから、気分転換も含め、誰も知らない場所でリフレッシュしたかったのだ。

『本郷くんは皇帝のリングをつけてますから、せめてものお守りとしてこちらをこれからは肌身離さず着けて下さいね』

そう言って首にかけられたのはゴールドのネックレスだった。
四神の絵が掘ってあって、青、赤、白、黒の石が中央に嵌め込まれている。
結愛が見ても凄く高価な物に見えるから、価値のあるものなのだろう。

『……これは?』

結愛が疑問を問いかければ、永久はニッコリと微笑んだ。

『君が神の子である証と、四神がバックにいる事を示す物です。例え、皇帝のリングを見られたとしても、これを目にして本郷くんに非道な真似をする輩はそうそういないと思いますよ』

そう言って、結愛の額に口付けを落とした。

『僕の大切な恋人です。きっと本郷くんは冗談だと、偽物だと思っていますが…いえ、これ以上は言葉ではなく行動で示しましょうか』

そこからは泣いても喚いても前立腺攻めを止めてはくれず、結愛は声が枯れるまで喘ぎ続けさせられたのだった。
お陰で本日は喉の調子がすこぶる悪い。
そして思い出すだけで、肛門がジクリと熱を持つような、疼くような感覚に陥るのだった。
毎日慣らすとは言っていたが、本当に有言実行するとは夢にも思わなかった。
正直言えば、後ろだけで射精出来てしまったのだ。
永久のテクニックが凄いのもあるが、多分この体がそう作られているのだろう。
何せ、BL恋愛ゲームの世界なのだから、トリップ特典として付加されたに違いない。

「もう、どうしよう…」

結愛は至る所が性感帯になってしまった事を不安に思っていた。
洋服や物が当たっただけで、乳首が気持ち良くて堪らない。
それだけでムラムラした気分になってしまうのだから、どうしようもない。
ちょっとした刺激で先端はプックリと尖り、今じゃワイシャツやティシャツ一枚では下から主張するように勃ってしまう始末。
男なのに一枚仕込ませないといけない事実に目眩すら起こす。
敏感になりすぎて、シャワーを当てただけでもそこを自分で弄ってしまう。
この世界に来て、自分の乳首で自慰する日が来るなんて。
こんな体でこれから先、どうするんだと項垂れたのだった。

街に着けば、賑わう繁華街。
その駅の近くにある大手電化製品へと足を踏み入れたのだった。
最新式のノートパソコンがずらりと並び、先程までの暗い気持ちが一瞬で吹き飛んだのだ。
どれにしようか悩んでいたら、背中に衝撃を受ける。

「すまないな、っと」

ド派手なピンク色の髪の毛にサングラスをかけ、至る所に何個もピアスをつけた男が立っていた。

赤いアロハシャツの長袖を着ており、パンツにインしている。
皇帝の右腕の上総だが、結愛とは初対面な為に互いにその存在を知らない。

「こちらこそ、悪いな」

そう言って結愛は再びパソコンを見始めた。
上総はサングラスで目の動きがわからないのを良い事に、結愛をじっと見つめる。
正直、顔がタイプなのだ。
黒髪に平凡な髪型、黒い瞳にどこをとっても抜け出るものはない普通顔のパーツ。
身長も平均男子にしてはやや低く、細身の体型。
だが、その普通こそが上総のドストライクで、パソコンを真剣に見つめる結愛を舐め回すように見続けた。
やはり視線に気づかないのだろう。
結愛は真剣な顔をしてパソコンを見定めている。
拐いたい。
拉致監禁してずっと可愛がってやりたい。
白いフリフリのエプロンをつけて、お帰りって言って欲しい。
そんな欲望がムクムクと顔を出していた。
すると結愛の薬指に指輪を見つける。

「!?」

それにはさすがに驚いた。
自分のチームの総長のものである証が、確かにその指に嵌められているのだから。
そして首元には、四神の所有物であるネックレスまでもしてある。
もうこれには腸が煮えくり返るような怒りがこみ上げて来た。
こんなに可愛い子を皇帝だけではなく、四神までもが独占しようとしているのかと。


2025.02.04

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