叔父と甥1※猟奇的
※残虐、猟奇的表現あるので、苦手な方はスルーして下さい。
今年入って初めて計測された雨量の豪雨。
政府から住民達は高い高台へと避難するよう緊急速報がテレビで流れていた。
川が氾濫し、ここらが沈むであろう予測された為だ。
警察官や市役所の人間達が車を走らせ、アナウンス警告して行く。
ここ日本は台風の通り道と言われ、多大な被害を被っていた。
けだたましく避難する住民の姿が居なくなってきた夜更け、広い庭の奥に佇む城のように大きな洋館に黒い影がひとつ。
雷の閃光と共に耳をつんざく程の大きな落雷音。
叩きつけるような雨と吹き飛ばされそうな風の中、洋館の扉を土足のまま入って行った人物がいた。
外の景色とは別世界かのように眩しい光に包まれる。
大きなシャンデリアの外装がキラキラと反射し、奥に続く部屋からはクラシックの音楽が大音量で流れていた。
赤い絨毯の上を黒い長靴で歩けば、泥まみれの足跡が付く。
全身黒の雨具で覆われ、顔には赤い天狗のお面をかぶっている様は不気味でしかない。
招かれざる客と言った所だろう。
こんな避難警報が流れる地域で、残ってるだけで異様なのに。
足音を隠す事なく、コツリコツリと怪しい人物は歩いて行く。
扉を開ければ小太りの男とその妻らしき化粧の派手な女の姿があった。
「っ!?何だお前はっ…!?」
突然の訪問者にこの家の主らしき小太りの男が怒鳴り散らす。
政界でも有名な政治家だ。
「何土足で入って来てるのよ!!お金はどうしたのよっ!?」
男の妻がヒステリックを隠しもせず叫ぶ。
異様な雰囲気の男の手には何も持っておらず、手ぶらである事を悟ると女がスマホをとって操作し始めた。
「ちょっと西川はどうしたの!!何故1人なんだ!」
女の方が先に秘書の西川と言う男の姿が隣にない事に気付き、既に電話をかけていた。
着信音が遠くから響き、小太りの男は音の方へと歩み寄る。
女はまだ出ない事に苛立ち、真っ赤なマニキュアをした指を噛んだ。
「それ以上入って来たら、警察呼ぶわよ!!何で警報機が鳴らないのよ!」
どうやら取引先の人間ではない事に気付き、女が警戒心を強める。
そして近づいてくる男に向って近くにあったグラスを投げた。
ガシャンと頭にぶつかって、床に落ちて、グラスが粉々に砕け散っても怪しい男は歩みを止めない。
ジャリジャリとガラスの破片を踏んで、女の前で止まった。
「あ…」
頭に当たったのに痛がる素振りも気にした様子も無い事に女は今更ながら異常な空気を察知した。
だがそれはもっと早くに気づくべきであり、怪しい男が目の前に来てからでは時すでに遅し。
「っ…ぁ…」
男が腰から日本刀を抜き、ゆっくりとそれを女へと振り落とした。
肉を割くような音と共に何がが吹き出す音が響く。
「ぎゃあぁぁ、……ぁあっ!!!?」
断末魔のような大きな悲鳴が途切れ途切れに発せられた。
真っ赤な絨毯に溢れる大量の血。
どさりと倒れた女の頭は真っ二つに割られ、脳みそが飛び出ていた。
足はピクピクと動き、これが脊髄反射である事が見うけられる。
肉の塊となったものを何の躊躇いもなく踏み、男が向かった廊下へと足を進めた。
「おい、西川…っ」
着信音の方へと向かうと、そこは裏口に続く通路だった。
スマホの液晶が光り、不自然なまでに床に転がってるそれを拾おうとする。
しゃがもうとしたが、自らの肉で膝が曲がらなず、仕方なく伸ばした状態で手に掴む。
すると髪のはえてない頭にぴちゃりと水が落ちてきたような感覚があり、不思議に思い上を見上げた。
そこには探していた西川の姿があり、天井の排気口に頭を突っ込み、ダランとぶら下がっているではないか。
「うわぁぁ!!?」
灯もない薄暗い廊下だから気づけなかったが、首を鋭利な刃物で切られ骨だけで繋がっている胴体。
そこからおびただしい血液が流れたのだろう、雫となりポタポタと垂れている。
出し尽くした体は青く、人の温かさなど感じない無機質なものへと変貌していた。
これはまさか、そう思って振り返ろうとした瞬間、体に衝撃が走る。
「ぐはぁ、ぁっ…!!?」
何が起きたのかと自分の体を見降ろせば、長いものに貫かれていた。
口から大量の血を流し、呼吸もままならない状態で首だけを動かす。
すると先程の怪しい男が日本刀で自らの胸を刺していたのだった。
何故、こんな事を、そう口にしようとして男は絶命したのだ。
クラシックの音が流れる中、怪しい男は天狗の仮面を被ったまま、何事もなかったかのようにその場を去って行く。
真紅の赤い薔薇を死体となった男と女の上に置いて。
2024.08.06
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