tori


14※R15


※R15っぽいものあり、苦手な方はご注意を。


やってらんねぇとばかりに、ほとりは奥にある風紀専用のデスク部屋へ消えた。
朝から胸糞悪いものばかり見せられ、気分悪くて仕方ない。
誰か同級生の、しかも風紀も一緒の奴の恋愛事情など見たいものか。
あんなどこにでもいるような平凡、そんな奴にメロメロになり、終始ラブラブビーム送ってる姿を見せられなきゃいけないのか。
嫌悪感と吐き気しか起きないのであった。

「……あれの…どごが…そんなに…良いんだ…?」

そう奥の部屋に入ったほとりが一人、ぽつりと呟いたのだった。

(あの銀髪ヤンキー、どっか行ってくれた!マジ、感謝!!)

その様子に、柳はほっと胸をなでおろした。
千尋はその間もずっと柳だけを凝視。
気持ち悪いくらいに目線をはずさなかったのである。

「あー…助かった。小林、ありが…と…」

柳が安心し、千尋の方に顔を上げた瞬間、何故か抱きしめられた。

「……ん?」

意味がわからず、 首を傾げれば、千尋の鼻息が若干荒い。

「っ…好きだ!俺は小鳥遊が好きなんだ!すまないが我慢出来ない!」

(……?…好き?俺を好き?我慢?……え、え…?何が?)

何の我慢なんだろうか、そんな我慢するような事があるのか。
そう柳が考えていれば、抱きしめられた腕が緩み、壁に縫い付けるように両手首を顔の横に固定された。

「へ?」

柳は何が何だかわからず、自らの手首と千尋を交互に見やった。
目の前には顔を真っ赤にした千尋が、何故か目をギラギラさせて自分を見下ろしていたのである。
その眼差しに欲が入ってるのに気付き、ゾクリと背筋に悪寒が走った。
互いの目が合った瞬間、千尋の手に力が入る。

「痛っ…!?」

柳が声を上げれば、千尋が一瞬だけ怯んだのがわかった。
瞳の奥に宿る熱に恐怖を感じ、頭に警告音が響き渡る。
逃げろ、逃げるんだ、そう自分が告げているではないか。
柳は震える体を必死に抑え、深く深呼吸して、冷静さを取り戻す。
このままだといけない、今出来る事は千尋と距離を取る事だけだ。
そう思い、力の限り千尋の手を振り払った。
目の前にあるその巨体から抜け出そうと試みたのだが、相手の方が一歩先を行っていたのだろう。
想定済みと言わんばかりに再び手首を強く握られ、体ごと背後から抑えつけられてしまった。

「ひっ…!ちょ、小林っ、待っ…」

待ってと言う前に、項に湿った感触。
ふにっとした柔らかな感触は何だ、そう思い振り返ると千尋が首筋に頭を寄せていた。
一瞬、何が起きたのかわからずにいれば、耳や頬に触れる千尋の髪がくすぐったくて、柳は身を縮こませる。

「ひゃあっ!?…んっ…!っ…はっ…」

あまりのくすぐったささ、鼻息が敏感な首筋にかかって、ビリビリとした電気が走る。
自分の口から出た声があまりにも甘さの含むもので、それに戸惑いを隠せなかったのだ。

「はっ…小鳥遊っ」

柳の反応全てが千尋の欲情をそそる。
耳が甘い声により犯される。
目の前の温もりが愛しくて堪らない。
きめ細やかな肌にもっと口付けたくて、何度も吸い付いた。

「ぁ…っ…やぁっ!小林っ…待ってっ…、ひぅ…だめ、だっ…てぇ…」

拒絶の声すら、誘ってるようにしか思えなくて、千尋は更に興奮してしまう。

「小鳥遊っ…可愛い…好きだ…っ、はぁっ、んっ…好きなんだっ…」

背後から羽交い締めにされ、逃げられないように強く押し付けられ、ちゅっちゅっと何度も項にキスを施される。
くすぐったくて、なのに相手の熱が感染してしまったのかと思うくらいに、体が動かない。
何より千尋の声が甘く、聞いた事のないようなすがるものだから、好きだと何度も言われる度に脳が麻痺したように動かなくなってしまうのだった。


2024.07.12

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