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「え…、ちょっと待て!無事だけど!え、食われなかった!?は?え、何、これ!?え、ちゅー?え?はぁ…!?」
柳は混乱し、寝そべったまま、両手て顔を隠した。
まず思った事は、猟奇的な意味の食べるじゃなかて良かった。
そして、思いの外、キスが嫌じゃなかった。
しっとりした薄い唇の感触が気持ち良かった。
最後にこれが重要だろう。
ちょっと息子が反応してしまった。
この4点がぐるぐると頭の中を支配したのである。
「ずっとお慕いしておりました。初めてお会いした日に恋をしまして…貴方の事を純粋な気持ちで想う一方とは別に、性欲的な意味で手籠めにしたいと思っております。…まずは一番近くで守れる力が欲しいと思い、親衛隊を結成致しました。もちろん、私が隊長です。…他の者など、指一本でも触れさせませんので、ご安心下さい。身の回りのお世話はもちろん、小間使いとしてもですが、性欲処理まで、私の全てをお使い下さい。きっと満足させられると信じております」
頬を染め、とても美しい微笑みなのに、マシンガンのように止まらぬ言葉の数々。
「いやいやいやいや!あんた何凄い事をさらっと言ってくれちゃってるんだよ!?え、親衛隊とか、隊長って何!?意味がわからねぇし、性欲処理!?いやいやいや、無理だから!本当、そう言うのいらないから!!」
ガタガタと体を震わせ、全力拒否。
「…そうですよね、申し訳ありません。性欲処理など、言い方が悪かったですよね。…私とした事が…」
玄心は悲しそうに眉を下げ、失礼しました、と頭を下げる。
(良かった…。やはり頭おかしいけど、それなりの常識はあるんだな。)
「愛のない行為がお嫌いとの事ですよね?…大丈夫ですよ、ご安心を。大人の玩具を使用されないか、心配なさっているのですよね?それに関しては私も同意見でございます。あれらよりも遥かに、私の指は小鳥遊くんを満足させられるでしょう。あ、指だけではなく、こちらも。」
こちらもと言う先に、玄心の下半身があった。
想像したくはなかったが、柳の想像するそれで正解なのだろう。
いや、違う。
そうじゃない。
「…そんな不安そうな顔をなさらないで下さい。無理矢理など、決して致しませんし、痛みが無いように、慣らしてから私のモノを挿れさせて頂きますので、ご心配には及びません」
「だから、違げえって!!さっきから、何、堂々と禁止用語言ってんの!?ねぇ、大丈夫!?眼科行こうよ!俺が好きとか、どうかしてるからね!!玩具って何!?!そんなの使わないし、何も求めてないからね!!!」
頭に血が登り、大声を出したからか、酸欠になりそうな勢いである。
そんな柳を玄心が心底心配する図はカオスでしかない。
「もう勘弁して下さいっ!!!」
柳はその場を脱兎の如く、逃げ出したのであった。
「あぁ…、本当に可愛らしい」
柳の出て行った方向を見て、感極まったように呟いた。
初めて触れた体温、唇、そのどれもが夢のような気がしてならない。
やっと、柳の近くに行けた。
ずっと喉から手が出る程、欲しかった存在。
自分無しでは生きられないようにして、囲ってしまおうか。
そう思う玄心なのだった。
2024.07.07
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