2000

バックステップ・ユニバースで
誰よりもばらばらに纏う
良心(捨ててよ)
シナリオライターの誤算
きみに会えるならそれでいいや
き・え・な・い・で
泣き笑いの花時計のこと
嘘の叫び声だから届かなかった
奪い合うように求めた唇について
あえてもう一度言う夢じゃない反駁
見えない世界より顕れる清光
だれかのヴァイオレンス
いつか忘れられたら
眩しすぎる万能感と踊る
博愛主義とイノセントの対価
ニセモノ・チョコレート
かなしいほど綺麗な幻聴
昨日飲み下した空模様
翡翠の完了反応のために
前向きばっかり並べてる
煙でできたこのからだ
ここからはのどかな安楽死
箱庭の夜光虫はひとりさびしく
目の覚めた王さまは裸で踊っている
宙に舞うアパタイト/信じてた夢くらい
翳る瞳
2月の忘却
愛されない自由
愚者になりました
来世めいたボヤージュ
なのにまだ、覚えてる
瑪瑙色のヴェール
紺の旗の彩雲
対岸にいる一等星
あなたのための揺籃歌
眠れぬ夜のトラブルメーカー
見渡す限りのぬるい本能
アンテナはもうない
何度目かの嫌悪
咎人の脳波
止まぬ雨のさき
救いのない静画
夢中におなりよ
月の宮殿で待つ
いつか来る裁定
Good People Stand Out
足音ごとにすすむエンドロール
flower bud
あの時すれ違ったのがあなたじゃなかったら良かった、なんて
"Goodbye" I Want
おそろしいものから守ってあげる、それなりに
空っぽのヒーローたちは
無秩序なる創造の燭
あなたの笑顔消えぬまま
ヒロイズムの余波をみくびる
光またはχ
腹痛と君の使命
スピナル・ゴースト
トラブルメーカーに聞く
喉が枯れるまで毒を飲み干せ
玩具が泣いて待っている
道徳みたいな愛に溺れた
空転する作話が笑ってる
薄ら氷に自分を映しつつ
ランディングぐらいなら
過去形になる雨のにおい
いつかの夢はしんとして
慣れないレクイエムより
因子分析を終えて一休み
ナイトトレインも透けて
朱い口紅が秘めている
いつだって意識の延長
さざめく砂上の散々な
知らんぷりのヴォイス
月並みになれなかった
残夢の海
深海に潜るための翅
おいでよがらくたの海へ
眼窩を満たす海
凍った海に不時着した
マロン・グラッセの似合う唇
ゲラナのくちびる
唇から遠ざかる矛盾
下くちびるに火を
きみに届かなかった唇のかけらたち
深遠なる夜明けへ
夜が明けたらさなぎも孵るかしら
ピアスホールには埋まらない夜明け
夜明けの散らばる此岸にて
きれいな夜明けに閉じ込めるの
秋めく星彩とあの日の水面
あの秋の沈黙と息づかいの忘れ方
秋雨の中じゃ飛べやしない
手のひらの秋沙がくちづけるとき
きみと見た秋果のきらきら
がらんどうなわたしに群青をちょうだい
青く揺蕩うひかりのしるし
喜劇にも似た紺青
火花のねむるあなたの刺青
あの日の深海魚は真青に燃える



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