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これの続き

漸くあいつは思い出した。


全くもって、俺がどれだけ待ったと思っているんだろう。
前世っていうやつでさんざんな思いをしてきた訳だが、一生の伴侶を得ることが出来たのは俺にとって最大の幸運だった。

愛されたとは言い難い家庭で育った俺が、なんの邪心もなく”俺自身”を必要としてくれる存在に出会い、別れたのが遙か100年以上前のこと。
俺よりも年若い女主が先に逝き、「来世でも一緒に」という言葉を生涯忘れることなく、こうしてちゃんと来世でも出会えたっていうのに当の本人は全く覚えていないときた。
ほんのすこし、めんどくせぇから約束を反故にしてやろうかとも思ったことがあるが、なんだかんだ言って女主にベタ惚れしているんだと思う。

高校の時、たまたま歩いていたときに拉致ってファミレスに連れ込んだのが切っ掛けだった。断じてナンパではない。
顔はまあ、そこそこ、中の下・・・いや上の上。誰かに盗られたらたまったものではないので、見付け次第即確保、を見事やってのけた俺はなんとか今まで女主との関係を続けることができた。
ひたすらに下世話な同級たち(こいつらもまた前世との因縁だが)と女主と良い関係を狙ってくる野郎どもを牽制しつつ、いつか俺のことを思い出してくれるよう、いつも一緒にいた。

それがどうだ。もう三十路手前。どんだけ待たせたと。だから・・・


「新郎尾形百之助、あなたはここに居る苗字女主を病めるときも、健やかなる時も富めるときも、貧しき時も妻として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」

「誓います」

当然、誓ってくれるだろう?

「新婦苗字女主、あなたはここに居る尾形百之助を病めるときも、健やかなる時も富めるときも、貧しき時も夫として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」

「はい、誓います」




新しいマンション。新しい家具。新しい場所。
隣には変わらない嫁さん。
「お給料は私が管理しますからね!」
ほらな、同じ財布じゃねぇか。