六つ目
言われた通り、夕餉も共にした。
湯を浴びて部屋に戻れば、布団が敷かれていた。

「あ……ありがとうございます…」
「今日はお疲れ様でした…私達に付き合っていただき、ありがとうございました。」
「さ、ゆっくり休みな…寝るまで傍にいよう。」
「あ、あの…無常様……」
「どうした?まだ眠くないのか?」
「い、いや…あの…結局お二人の答えって何だったんですか?」
「…伝わらなかったのですね……はい、答えと言うのは、貴女に対する態度そのものです。」
「……えーっと……じゃあ…出る時に手を繋いだこととか?」
「あぁ、そうだ。」
「歩幅も合わせてくださいましたし…ご飯も一緒に食べてましたよね…」
「はい、巫女さまは人間で、私達は妖怪…人は儚いものです。私達が少し力を出せばいとも簡単に死んでしまう…」
「だからさ、妖怪である俺達が人間である巫女さんに歩み寄らなきゃいけないだろ?…どうだった?これは、巫女さんが求める答えに当てはまらないのか…?」

私は物だと言ったから、ずっと形あるもので答えを出すのだとばかり思っていた。
だけど…無常様の出した答えは、人と妖が共存する上で大切なことそのものだった。
私ばかりが疑心暗鬼のあまり、視野を狭めていた。

「無常様のお心…、…ちゃんと伝わりましたよ…っ!」
「…!な、何で泣いてるんだ…!」
「ごめん、なさい…っ。私…私は無常様の事をずっと誤解してました…!」
「いいえ、誤解を招くことをした私達に落ち度があります…どうかご自分を責めないでください。」
「黒無常様、白無常様…告白を受け入れさせていただきます…!」
「…!本当か…!嬉しいぞ……巫女さん…ずっと愛するからな…!」
「……愛しい者を守りたいというのは、こういうことなのですね…絶対に後悔はさせませんよ。」


あの時は二人のことをよく知らなかったけれど、とてもいけないことをしていた。
思い込みの勘違いなんて、一番してはいけないのに…

「とてもいい話が聞けた……なんだ、二人とも良い奴じゃない!」
「ふふ…今も無常は優しくて強くて、私のことをよく見てくれてるよ。」
「え、今は性欲の塊でしょ?」
「うぐ………そこを除けば多分、理想の旦那様って呼べるんじゃないかな。」
「仲がいいのは良い事だ…これからもそなた達の行く末を見守っているぞ。」
「目連様、いつもありがとうございますっ。そしてこれからもよろしくお願いしますね。」
「あぁ、いつでも相談にのるぞ。」
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