変わらない事
「今日は本当にありがとうございました!」
「いえ、こちらこそ。」
「私自身も楽しませていただきましたわ。また機会があったら、伺っても良いかしら?」
「えぇ、近くに来た際は是非。」
「なら、お言葉に甘えてそうするわね。それではまた。」

一礼をして屋敷の門を潜り出る。
今日の私は完璧だったのでは?
間違いなく出来る女、という印象を与えられたはず。
後は何度か訪れて行くうちに………なんてね!


「はぁぁぁぁ…………………みこ……」
「お疲れ様、白無常…」
「もうあの方の顔も見たくないです。何とかしてください。」
「えぇ?あんまり良くなかったの?」
「違いますよ、みこ…彼女の目的に気付いていないので?」
「うん?白無常とお友達位にはなろうとしてる?」
「おや、そこには気付いているんですね。残念ながら今回はそれよりもっとですよ。」
「もっと…?うーんと………もしかして、白無常に恋してるとか?」
「当たりですよ。だから言ったでしょう、みこは僕に浮気をさせるのかと。」
「えぇ〜〜ッッ!嫌だぁ…白無常……」
「どうして不安に思うんですか!僕は散々無理だと言っているのに!」
「本当…?本当にあの人は嫌なの…?」
「顔も見たくないと言ったでしょう。自分の身丈にも合っていない場所に連れられて…どうでも良い自分語り、苦痛でしかない。」
「……うん……白無常がそう言うなら信じる……白無常…っ。」
「そういえば、褒美を用意するとか言ってましたよね?」
「うん…何が良い?何でも用意するよ。」
「もちろん…目の前の嫁を、存分に可愛がらせてくれますよね?」
「…、……うん…可愛がってください…♡」

あぁ、やっぱり僕の嫁は可愛い。
何も気取らず、素直な面を全部見せてくれる。
素でみこは、優しく気を配れて、ふわふわとしている。
最初こそはみこも僕達に惚れていたわけではなかったが、向けられる好意は全て受け止めていた。
そしてその愛に次第に溺れていった、と言う方が正しいだろう。
今ではこんなにも一心不乱に僕を求めている。
だけど、そこには初々しい恥じらいもまだ混じっている。
何を恥じる事があるのか…
口付けを降らせば、それに応えるように身体を擦り寄せる。
先程まで受けていた苦痛を癒してもらうために、押し倒して視界を奪う。
一気に赤くなった顔と、これからを期待する瞳。
こんなにも一途だと言うのに、不安に思うとはまだまだ調教不足だな。
どんな事があっても僕はみこに心酔しているし、元へと戻ってくる。
魂をも掴まん勢いで愛している事を、じっくりこの身に教えてやらねば。
7/11
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