嫉妬狂い
どうすれば、彼女は自分を見るようになる?
視界も、思考も、自分中心になるだろうか?
気に食わない男と並んでいる姿など見ていられるわけもなく、早々に屋敷へと戻った。
「黒無常、驚きましたね。まさかあんな姿を見るとは。」
「あぁ、本当に。特別は俺達じゃないのか?」
「僕達に決まっているでしょう。おかしいな、それだとあの男は?」
「…考えるだけ無駄だと思わないか?」
「なら、どうしろと?」
「そんなの簡単だろ。直接俺達の者だと刻めばいい。」
「…なるほど、それは良い。いや、それしかない。」
そうすれば、否応なしに視線も思考も逃げることができなくなる。
そうとなれば…帰ってきたらさっそく実行するしかない。
今日も楽しかったなぁ。
あの人とは前回にも博雅様の紹介で、席が一緒になって…
今回は一人で来たけど、あちらも一人だったなんて。
それに博雅様のお知り合いともあって、陰陽師の仕事についてたくさん教えてもらえた。
忙しく、天才的な晴明様にはなかなか聞けない事も、たくさん教えてもらった。
博雅様には感謝しないと。
陽気な気分で部屋の襖を開ければ、目の前に大きな影。
「ひぁっ…!?む、無常様…?!」
「あぁ、おかえり、みこ。随分とご機嫌そうだな。」
「待っていましたよ、みこさま。お久しぶりですね。」
「は、はい…部屋の灯り、つけても大丈夫でしたのに…」
「すみません、僕達にとってはあまり変わりないので。そうですか、日は暮れたのですね。」
「…?いつ、いらっしゃったんですか?随分と待たせてしまったみたいで、申し訳ないです…」
「別に気にするなよ。みこが男と楽しげに話してる姿見てから、ずっと待ってたんだ。」
「……え…?」
「我々という存在がありながら…どうやら飽き足りなかったようで。」
「え、えっと……無常様…?」
「俺達、契約を結んだ仲だろう?なぁ、『みこ』?」
「……っ!!?」
「酷いじゃねぇか。あんなにも忠義を見せて、尽くしてやってるのに…」
何となく様子がいつもと違うと思っていた。
のに、黒無常様に名前を呼ばれてから、体が金縛りにあって動かない。
これが呪…!?
「俺はみこを愛してる…そうじゃなきゃ契約なんて結ぶもんか。」
「僕もみこ…貴女を愛しています。貴女も僕達を慕うからこそ、契約したのでしょう?」
「む、無常様……どうしたんですか…?」
「どうも、何も。」
我々という存在がいながら、他の男を見るとは許せない、ただそれだけだ。
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