挨拶
出したら満足したのか、すぐに退いてしまった。
布団を掛けられたまま、息を乱したままの私を置いていく。

「よ…と……ちゃ……きて…」
「ん…入るわよ……………大丈夫…!?」
「はぁ……は…ぁ………だ…じょぶじゃ…な、い…」

股から精気が溢れ落ちる感覚に体が震えてしまう。
上半身だけ起こされ、はだけた寝間着から肌の様子を観察される。

「…ひっどい………噛み跡だらけじゃない……穴もできてる…痛いでしょ?」
「ちょっとちくちくするけど…慣れたよ。」
「………体、拭かないとね…待ってて、お湯を持ってくるわ。」
「ありがと……」

痛い……更にまた腰が痛み始めてきた。
そういえば最近、妖刀ちゃんと湯に浸かってなかったな…
それにさっき付けられたところだから、血が滲んでいるかも…

「お待たせ…今日も寒いから、冷やさないようにね…」
「うん…」
「……きっとさっきのさっきまで、やられてたんでしょ?」
「…!」
「少しは労れないのかしら!それに、年明け早々!」

妖刀ちゃんが私の代わりに無常に対して怒っている。
本当にそう。
そうだと分かってても為す術なく、流されてしまうのだ。
熱々の湯に浸した手拭で体を温めながら清める。
渡された長襦袢に腕を通す。
晴れ着を眺める妖刀ちゃんの隣に立って、様子を伺う。

「綺麗ね、白地に赤と黒の花が映えてる…」
「宮司様に貰ったものなの。」
「へぇ、そうなんだ…そんな偶然もあるんだね…」

妖刀ちゃんに手伝ってもらい、丁寧に着付ける。

「ん、できた!良いわね!凄く可愛い。」
「ありがとう…妖刀ちゃんの着物も綺麗だね。」
「うん、晴明様に新しく用意してもらったの。黒白はどうするんだろうね?」
「さぁ…何も言わずに出ていっちゃったから…」
「ま、取り敢えず大部屋に行きましょ!皆待ってるわ。」

廊下に出て角を曲がれば、二人がいた。
それぞれちゃんと紋付袴を着て、待っていた。

「…!わぁ…新鮮…似合うね!」
「みここそ…綺麗だ。」
「よく似合ってますよ。」
「ありがとう……二人も部屋に行こ?」

四人で皆が集まっている部屋へと向かう。
襖を開ければ一斉に視線が集中する。
にこやかに新年の挨拶を交わしていく。
また新たな一年を晴明様達と過ごすことができる。
これ以上嬉しいことは無い。
平安京の平穏を保つ為にも、もっと頑張らなくちゃ。
晴明様のような…立派な陰陽師に!
3/3
prev  next