融解
ご飯を食べた後一旦部屋へ戻る。
集会までまだ1時間は暇だ。
ソファに深く腰掛ける。
と、タウも部屋に入ってきた。
同じように隣に座る。

「戻ってきてから少し様子が変だが…」
「……あのね、タウ…エダさんに優しくしたんだよね…」
「…?」
「マント貸してあげたって、聞いたのっ。」
「………フフッ…」
「な、なんで笑うの…」
「いや…君も嫉妬してくれるんだな、と思ってな。」
「だ、だって……タウは優しいけど…そんな事までするなんて思わなくて…」
「他の人の匂いがつくのは嫌か?」
「そ、そんなことは言わないけど…」
「私は嫌だぞ…?どうせなら、君の匂いを上乗せさせてくれないか?」
「…────ッッ…!!」

外したマントに包まれながら、膝の上に乗せられた。
ぎゅうっと抱きしめられる。
硬い鎧に押し付けられて、身動きが取れない程の力で抱きしめられる。
顎を掴まれて、上を向かされて、唇を重ねられた。
息が苦しい…っ。
それに、これが焼きもちだなんて…
同じように気遣ったのが少し気に食わないだけで……
状況的には決して変な行動でもないし、きっと誰であってもしたと思う。
誰にでも優しいのがタウの良いところ。
でも、特別な優しさは私だけが良かったのに…

「私も君も特別はお互いだけが良いと思っている…クスクス……君の可愛い一面を見れて嬉しく思うぞ。」
「な、なにも可愛くないよ…ただちょっとワガママなだけだよ?」
「我儘を言うのは私にだけだろう?だが、もっと言ってほしい位だ。」
「………」
「君の我儘も、何でも聞くぞ?」
「じゃ…じゃあ……あんまり他の人に優しくしすぎないでほしい…」
「あぁ、分かった…触れるのは君だけにしよう。」
「そ、そこまでは言ってないよ?」
「うん?代わりに君も私以外にその身を触らせないでくれるだろう?」
「……うん…」

間近で碧の瞳が輝く。
もう一度唇が重ねられる。
タウがこんな事ばかり言うから、私…もうタウの事しか考えられなくなっちゃったよ…?
何をしようと思ってもタウの事ばかりが先に出てきちゃって…
シュネル様よりも優先して考えちゃうなんて、本当はだめなのに…

「たう…たうのばか…」
「クスクス……あぁ、私は馬鹿だぞ。だけど、君の事が好きで堪らないんだ…許しておくれ。」
「私もタウのことばっかり好きで堪らないよっ。」
「そうか…もっと、私に溺れてくれ…♡」
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