緊急事態
「えへへへ〜〜〜〜♡しゅねるさまぁ〜♡」
「んんっ…酒臭いな……誰だい?飲ませたのは!!」
「しゅねるさまの髪サラサラ…いい匂いしますね〜♡」
「わーっ!!食べちゃダメだよ!!」
「ハアッ…ハァッ………ミコいた…って!何をしてるんだ!?」
「あ〜ろーまんさん〜!えへへ、しゅねるさまいい匂いですよ〜♡」
「こら、離れろ…はぁ……もう疲れた…」
「タ、タイウィンはどうしたんだっ?」
「悪酔いして休んでるところだ…ミコが無理矢理飲ませたからな…」
「たう?タウがどうしたの?あ!たいうぃんさまはどこですか〜?」
「あ、おい!待て!!クソッ酔っぱらいのくせに速い…!」

今日は建国記念のパーティ。
レファンドスの街中も、城内も祭り騒ぎだ。
広い広場を利用して、パーティを開いたのは良いものの…
酔っぱらい事件がさっそく勃発してしまったらしい。
確か、あの子はお酒に弱くて、しかも酔ったら奇行に走るんだったな…
だから、公の場では絶対に飲ませないようにしようと決めたはずなんだけど…
何かの間違いで彼女の手にお酒が回ってしまったらしい。
いきなり抱きつかれて驚きはしたけど、あまりの酒臭さに強く驚いてしまった。
またフラフラと千鳥足ながらも、素早くどこかに行ってしまった。
息を切らしながら追いかけるローマンは可哀想だけど、面白いからまぁ良いかな。
それに他の兵には絡んでないみたいだし。


「あ〜〜〜たいうぃんさまぁ♡」
「は…ミコ……グフッ!!」
「すぅ………えへへ……やっぱりここがいいな…♡」
「だ、大丈夫ですか、隊長……顔色が悪そうですよ…水飲みますか?」
「あ、あぁ…頼む…」
「ねぇねぇ、どうしたの?具合悪いの?」
「……はぁ……君ねぇ……」

自分で無理矢理飲ませたというのに、もう忘れたのか…?
…いや、酔っぱらいに何を言っても無駄か…
新たに水が注がれたコップを受け取ろうとすれば、先に奪われてしまった。
返してもらおうとしても、無視して水を口に含む。
あぁ、まあ…君の酔いが覚めるのなら…
と、思っていたら襟を掴まれて力尽くでキスをされた。
ど、どこからそんな力を出したんだ?!
唇を舐める感覚に負けて口を開けば、生ぬるい水が少しだけ流れ込んできた。
大半はうまく渡せずに口の端から零してしまっている。
気に食わなかったのか、もう一度水を含みなおしている。
待て、待て…目の前にまだ人がいるぞ…!?
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