抑制
少し体を寝かし上に乗るようにさせて、水を渡しやすいようにしてやった。
うまく口の中に水が入ってきた。
喉を鳴らしながら飲んでやれば、満足気な顔をしてようやく離れた。
袖で口を拭いながらも、腕を掴む力は緩めない。

「たっ…隊長…大丈夫ですか…」
「あぁ、大丈夫だ…すまない、妙なものを見せてしまったな…」
「い、いえ!俺の方こそ凝視してしまってすみませんでした!!!」
「……」
「体調はいかがですか〜?」
「…悪化した。」

水を渡してくれた兵は、先程のやり取りに顔を赤くして逃げてしまった。
刺激が強すぎたのだろうか…
それに、ミコは交際している事を隠していたいと言っていたが…
私はどちらでも良いから、特に止めはしないぞ?
酔いが覚めた後がどんどん君にとって辛くなるだけだ。

「君もそろそろ酔いを覚ましたらどうだ?」
「えぇっ!やだ!まだ食べて飲むもん!」
「行かせないからな。」
「何でっ!ケチッ。」
「これ以上暴れないでくれ…」
「暴れてないもんっ。ほら、タウもご飯食べようよ!」
「私は気分が悪いんだ…もう少し休ませてくれ…」
「もうっ、もっとお水飲ませてあげるからっ。早く!」
「んんっ…自分で飲んだ方が早いんだが…」
「んっ!!」

まだ残っていた水を含ませて、飲むように促される。
仕方なく口を開けて、されるがままになる。
何度か細かく注がれ、最後の一口まで飲みきった。
飲む前よりは気分が落ち着いた。
もう酒は入れたくない…
誰かのせいで、許容範囲を一気に超えてしまった反動が、あまりにも辛すぎた。

「ねっ、食べに行こ!」
「…その代わり自由行動は無しだからな。」
「えぇ〜どうやって食べるの!」
「君が食べさせてくれれば良い。そうしたらお互い満足できる。」
「わかった!じゃっ行こ!」

キャッキャッとはしゃいで急かされる。
躓きながらもテーブルへと向かう。
途中、疲れ果てたローマンが、ようやく追いついたようだ。
好き勝手動かないように、捕まえているから安心してくれ。
それと…お疲れ様……
休んでから、後は心いくまで堪能してくれ…
ミコが気に入った場所の隣に座らされ、料理を盛る用の皿を預かる。
雑な盛り方で好きな物をどんどん取っていく。
…どれだけ食べるつもりなんだ…?
あまり食べると、酔っているから気分を悪くしてしまうぞ…
明らかに皿の大きさを間違えている量を乗せ終えた。
まだまだ奇行への油断が出来ない。
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