真実との対峙
「皆さん、相手側からの通達です。近衛隊長さま以外の兵を撤退させてください
。」
「私…以外を、ですか?」
「はい。理由は分かりませんが、大将以外は殲滅出来たと断言できます。ので、皆さんは帰城してください。」
「タイウィン、どうする?」
「……分かりました、残ります。ローマン、皆を撤退させてくれ。」
「分かった、気をつけろよ。」

軍団達はタウを気にしながらも、撤退して行った。
この場にいるのは、私とタウとタイウィンだけ。
緊張のせいか、変身はまだ解けない。

「貴様はどれ位、魔法少女Nのことを知っている?」
「彼女のことか?さぁ、その名と正義の味方であるとしか知らないが。」
「ひゃっ!?た、たいうぃん…?」
「ククッ…可哀想な奴め。こいつの顔をよーく見てみたらどうだ?」
「…………」
「あ、あまり見ないで…」
「どこか見覚えが…」
「見覚えもクソもあるか!こいつはミコなんだよ!!」
「…!!!!????」
「………そんなわけが…」
「この弓だって、ミコが持つものにそっくりだと思わないのか?」
「…言われてみれば確かにそう見える。しかし、本当にミコなのであれば私に隠したりなどしない。」
「その考えが甘い。」

言える事だったらもちろん、タウに言ったよ…
隠し事をしないって、分かってもらってて嬉しいよ。
だけどね…本当に言えないことだってあるの…
ごめんね、タウ…
裏切るつもりも騙すつもりも無いのは本当だよ。
肩に回されたタイウィンの手が、首をなぞって頬を撫でる。
タウが一瞬だけ眉を顰めた。
私だって認識されたのかな?

「ミコ可哀想に…理解力のない奴の傍では心休まらんだろう?」
「何も教えられないからしょうがないもん…」
「俺は全部知ってるぞ…この力がどうしたら強くなるのか。楽に使う方法も。」
「何故貴方が知っている?」
「ほら、ミコ。その力のことを教えてやれ。自分の事は言うなよ?」
「…あのね、タウ…」

魔法少女は、ポリティアの国主から創られた存在であること。
魔法少女の戦う源力。
魔法少女である事を教えてはいけない理由。
聞かされた事を全て伝えた。
何も言わない…何も言えないのかも。
きっと幻滅しちゃったよね?

「…すまなかった、君の事を何も理解してやれなくて…」
「謝らなくて良いよ!そもそも私が悪いんだし…」
「詫びたいなら、ミコのエネルギー補給の手伝いをしたらどうだ?」
「…へ?」
11/14
prev  next