魔法少女☆参上!
兵達が出発したのをしっかり確認して、物陰に隠れる。
待ってて、魔法少女Nは必ず皆のこと守るから!
屋根を伝い、木々を飛び移っていく。
一旦様子を見るため瓦礫の山から状況確認。
北側にはもうポリティア軍がいる。
こちら側も今しがた到着した。
荒れた大地に緊張の糸が張り詰める。

「それで!魔法少女は?」
「俺達は直接連れて来ることは出来なかった。しかし、彼女は現れると確信している。」
「へぇ〜〜?じゃあ10秒以内に来なかったら戦争だな!!10ー」
「魔法少女Nならここにいます!!」
「早っ!」

瓦礫の山の間から胸を張って、相手を見据えながら前に出る。
この距離だと弓矢の効力は半減してしまうな…
だけど、こっちは身体能力増し増しだよ!

「待っていたぞ、魔法少女N。」
「…!!」
「お前は正義感が強い…いや、好きな人に一生懸命と言った方が良いか?」
「な、なんで…たいうぃん…」

低くてよく聞き馴染んだ声が、場を通り抜ける。
もしかして、またタイウィンと戦わないといけないの…?
そんなのやだ…
タイウィンに矢先なんて向けられないよ…

「ククッ…安心しろ、今回も俺は戦わん。さぁ、その力でこいつらを蹴散らしてやれ。」
「え…?」
「おい、お前ら!!餌になる覚悟は出来てるだろうなぁ!?」
「「ヴェリアン様の推敲な計画の為に!!」」
「…どういう事だ?あちらは俺達を滅ぼすつもりじゃないのか?」
「分からない…あの自動人形が彼女の事を知っているのも気になる…」


まるで自ら命を捧げるような格好になる。
無抵抗な物を打てって言うの?
…でも、奴らが敵であることは変わらないし。
気が変わってしまえば、それこそ戦争が起こってしまうかもしれない。
腑に落ちないけど、打つしかない。
動揺が入り交じった心境では、普段の威力が出てこない。
大丈夫…これで戦争をしなくて済む。
それはとても、嬉しいこと…
覚悟を決めれば、矢の力が高まった。
これなら、一度でいけるッ!!
身を捧げた機械達は一瞬で、跡形もなくなった。
殲滅を見届けたタイウィンが目の前まで来る。

「凄まじいな…あの少女は一体何なんだ?」
「あぁ、良いな…俺のおかげで、前より強くなっただろう?」
「それは、否定しないけど…」
「銀色を呼べ、その他の兵を撤退させろ。」
「どういうこと…?」
「いいからやれ、これから楽しいことをしようと言ってるんだ。」
「…分かった……」
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