出会い
「そこのガキ!!!!!待ちやがれぇ!!!!!!!!!!!!!!!」
「はぁっ…はぁっっ…なんで…っ!」
「おい!!!!!誰か!!!!!そのガキとっ捕まえろ!!!!!」
(何もしてないのに…!!どうして!?)
「うあぁぁっっ!?」
「ハァ-ッ…ハァッ…捕まえたぞ……」
ようやく持てた少しのお金で、パンを一つ買っただけなのに…
どうしてか、盗んだ事になっていて…
しかも買った店とは関係ない人が激怒している。
初め、目の前に立たれて『お前が盗んだな?』と言われた時、意味が分からなかった。
正直に盗んでいないこと、違う店で買ったと言っても、私の身なりでは信じてもらえず…
話が通じないと思った時には、足は逃げていた。
でも、大人の足なんかから逃げ切れる訳もなく、掴んだ腕を潰す勢いで怒っている。
ミコ、ごめん…
握りしめた拳が目に入ってきた時、歯を食いしばって覚悟を決めた。
「少し待て!」
「うわっ!?な、何だ?!王宮の兵がどうして?!」
「その少年の腕を離すんだ。」
「はぁ?!こいつは俺の店の物を盗んだんだぞ!?」
「それはどうだろう?…ね、君…大丈夫?」
「は…はい……」
同じ歳位の男の子が兵士を使って、激怒しているおじさんを止めた。
黄緑色の髪をした、貴族の男の子…
わざわざ貧相な私が殴られるのを、兵士を使って止めてくれたのか…?
「おじさんは、この子の話はちゃんと聞いた?」
「聞くわけないだろ!貧民街のましてやガキなんて、平気で盗みを働く。」
「わ、私は盗んでません!!このパンだって他の店でちゃんとお金を使って…」
「じゃあその買った店まで、案内してもらえる?証言を得に行こうか。おじさんも一緒に。」
「嘘だったらもちろん、放っておいてもらえるよなぁ?」
「うーん…暴力は良くないな。その時は僕が罰するよ。」
この子は一体、どこの誰なんだろうか。
どうして私なんかに、ここまで対応してくれるのだろう?
ただ、今まで会ってきた人達とは、全く違うという事は分かる。
走って逃げていたから、少し遠い道になってしまったけど、買った店まで戻ってきた。
ここのお店が一番安くて、店主も少し年老いた女の人で買いやすい。
ベルを鳴らしながら店内へと入る。
「おばさん……」
「おや…何か忘れ物かな?」
「あの、この子は今日、パンを買いに来ましたか?」
「うん、来たよ。いつも苦労して手に入れたお金でパンを一つ買いに来る、常連さんだね。」
(私が…常連…!お金を持てる機会は少ないのに…嬉しい…!!)
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