特別
おばさんのおかげで、私が盗んでいないことを分かってもらえた。
おじさんは怒りのやり所に困って、言葉を吐き捨てた。
「あの…ありがとうございました…」
「ううん、良いんだ。ねぇ、君が良ければなんだけど、僕の家に来ない?」
「え…?あなたの、ですか?」
「また、こんな目に合わないとは限らないし。君次第だけど、僕の兵士になってみない?」
「…!!!」
貴族の専属兵士…
この街で住むより、ずっと待遇は良い。
どうしてそんな事まで言ってくれるのか、気にはなるけど、でも…
こんな人生に二度もない大チャンスを逃す理由がない。
迷いなく、大きく頷いてみる。
そうすれば、パッと笑った。
「そういえば、家族はいるかな?挨拶しに行かないと。」
「家族はいません…でもずっと面倒を見ている大切な友達が…」
「なら、その子に会いに行こう。それからその子にも、誘ってみようか。」
「女の子なので…兵士にはなれません、よね…」
「女の子なの?そしたら…右腕になってもらおうかな。」
みぎうで…?確か…偉い人のお手伝い役だったっけ?
ますますこの男の子がどこの子なのか、とても気になる。
そもそも出かけるのに、貴族であっても兵士をこんなに連れるなんて…
とても目立ってしまうけど、きっとお腹を空かせて待っている。
狭く入り組んだ道を迷いなく歩いていく。
ちゃんと着いてきているか確認しながら。
こんな道は珍しいのか、ずっとキョロキョロと見ている。
「ミコ…ただいま。」
「たう!おかえり!」
「こんにちは。」
「…!!…………」
「あ、ごめんね…ビックリしたかな?」
「ミコ、聞いて。私、兵士になろうと思うんだ。」
「えっ!?」
「僕の兵士に、友達にね、なってもらいたくて。」
「そう…なんだ………」
「だから、君も僕の友達になってくれないかな?」
「へ…?」
「いっぱい勉強しなきゃいけないけど、この子と一緒に僕の所に来てくれる?」
「…!!わ、わたしなんかでもいいの?」
「君たちが!いいんだ!ご飯もベッドも服も、全部僕が用意するよ!だから、僕の味方になってほしい。」
「えっと、その前にあなたのお名前を…」
「あっ!ごめんね!僕はシュネル。次期第一王位継承者だ。」
「じき…だいち、おおい、けいしょうしゃ?」
「次の王様になるってこと、ですね?」
「うん、簡単に言えばそう。君達の名前は?」
それならば、これ程多くの兵士を従える理由も不思議ではない。
そんなにも偉い人が、どうしてこんな貧乏人を…という謎は深まるが。
ただ、友達になってほしいという気持ちに嘘はないみたいだ。
ぐぅぅっとお腹の音が鳴った。
ミコが恥ずかしそうに俯いた。
そうだ、お昼ご飯にパンを買いに行ってたのに。
2/10
prev next△