この剣で
今日まで必死に剣を振ってきたというのに…
緊張や興奮が疲労を増大させていく。
それでも、勝ち進めていくのが夢のようで…

「両者、そこまで!!」
「はぁ…ッッ……はぁッ……」
「フ--ッッッッ………フ--ッッッ…」
「剣術大会!決勝戦!勝利は……タイウィン・ヘラッド!!」
「…、…!…はぁ………は………やった…!」

見ているであろう方へ視線を向ける。
勝った…私は最後まで勝ち残った…!!
流れる汗、切り傷に入って滲みる痛み…
それよりも達成感に満ち溢れ、口角が上がる。
私は、シュネル様のお側に立つ資格を、君の隣にいてもいいんだ。
この日まで、ずっと信じてくれた皆…ありがとう。
月桂冠を賜る感触、重みが、これは夢ではないことを知らせる。
会場内が揺れる程の歓声に包まれた。


「おかえり…タウ…おめでとうっ!」
「…ただいま、ちゃんと勝って帰ってきたぞ。」
「お疲れ!!さすがの剣術だったよ!僕もとても嬉しいよ!」
「良かったな…あの日会った時、まさかこんな奴になるとは想像出来なかった。」
「ここまで来れたのも、シュネル様が声をかけてくださったから…ローマンがあの時、助けてくれたからだ…」
「ううん、僕達は機会を与えただけだよ、ね?」
「あぁ、そうだな。全部、お前自身が努力し続けたからの結果だ。」
「そう言ってくれて、ありがとう……それで…その……ミコ…」
「…?どうした、の……そういえば言いたいことあるんだっけ…」
「聞いてくれるか、ミコ?」
「うん…なぁに?」
「その……ミコ…私と……私と、結婚を前提に…!恋人になってくれ!!」
「……うんっっ…!!タウのお嫁さんに…なりたいっ…!!」

緊張と羞恥で震えてしまう声を張り上げて、想いを伝えた。
嬉しさで泣いてしまいながらも、抱きついた体を抱きしめる。
あぁ、本当に夢のようだ。
君が好きだと言ってくれたあの日から…二回目のキスを自然と交わしていた。
隣でシュネル様とローマンが拍手を贈る。
私はまた君の隣にいてもいいんだな。
シュネル様のお側で、守ることも許されたのだな。
明日、目覚めたら何もかもが嘘だったなんてことはないんだな。
シュネル様に出会えるまでの暮らしを思い出し…
今の景色の眩しさに目が眩みそうだ。
幸せに満ち足りた感情は、こんなにも素晴らしい物なんだ。
肉刺が潰れては、瘡蓋が張り付いた手を握りしめる。
夢に見ていた日が現実になったんだ!
10/10
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