闘技当日
この日をどれだけ待ちわびただろうか。
この日をどれだけ焦がれていただろうか。
この日がどれだけ怖いことか。
剣術大会当日を迎えた。
剣と盾の手入れもしっかりと確認し、気合いも入れた。
入場する前に、交わした約束を胸に。
今、決闘の場へと足を踏み入れた───!!


「すごい熱気ですね!これが剣術大会…!」
「そりゃあ今年は10年に一度の守護騎士選抜戦だからね。普段の大会とは全然違うよ。」
「わぁ…他の人、凄く強そう…」
「聞いた話によると、今年は各大陸を踏破した戦士や、戦で数々の功績を挙げた名家の子息もいるらしい。」
「タイウィンは実戦功績がないから、見向きもされてないだろうね。」
「だからこそ、油断した相手をコテンパンにしちゃってほしいですっ!」
「さぁ、そう簡単にいくかは分からんな。だが、不足は無いと思っている。」

戦士入場で湧き上がる歓声、熱気の凄まじさに逆上せそうだ。
第一戦から盛り上がる観戦席。
勝ち上がり戦になっているこの試合。
得点性とは言え、命懸けの試合であることに変わりはない。
タウが勝てますように…怪我をしませんように…


「予選第三戦勝者、タイウィン・ヘラッド!」
「おい…あの青年、何者だ?」
「あんな名前聞いたことがねぇな…」
「お前は知ってるか?経歴は何もないみたいだが…」
「いや……でも、確か…シュネル様の……」

圧倒的実力で薙ぎ払い勝ちをしたタウにどよめきが起こる。
私も初めて、その実力をこの目で見た。
美しい剣さばきに見蕩れてしまった。
繊細で、美しいながらも、力強さがあって、隙を見せない。
タウは兵士と剣を時折交えながらも、独学でこれ程までの実力を…?
ローマンさんを見れば、誇らしげに笑っていた。
ローマンさんが一番近くで、タウの事を見ていた。
不足は無いという言葉に、自信を感じたのは、タウの実力が普通ではない事を知っていたから。
本人はあんなにも謙虚で、まだまだ力不足だと言っていたけど…
力不足どころか、渡り合える相手を見つけるのが難しい位…
短いながらも鮮明に記憶に残る試合がまだ、脳内に残っている。

「……ミコ…?」
「……はい…?」
「タイウィンに見惚れてた?」
「…で、でも…カッコよかったですよね…?」
「ますます好きになっちゃった?」
「…………」
「タイウィン、勝てると良いね。」
「……絶対…勝てますよ。」
9/10
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