愛の日当日
「今日はバレンタインデーだねっ!」
「あ…あぁ、そうだったか。それで今日は休みなのか。」
「エルバレン様ってやっぱりどこか、幼さが垣間見えるよね。」
「フッ、貴族の子だろうと所詮はガキだ。」
「そう言ってるタウも、実はワクワクしてるでしょ?」
「…ハッ、俺は菓子ごときで浮かれたりはしない。」
「でも、楽しみでしょ?」
「…まぁな。お前から何を貰えるのか、気になって落ち着けん。」
少し頬を染めた表情が可愛い。
バレンタインを楽しみにする姿は、エルバレン様とそう変わらない。
…って言ったら、怒られるから言わないけど。
イゼラ王国の方では、女性が男性に想いを伝えるイベントの日とされていた。
エウレカ地方では、大切な人同士で感謝の気持ちを伝え合う日とされている。
とは言っても、毎日感謝と愛の言葉を伝えあっている…
だから代わりにプレゼント交換しようというのが、恒例になっている。
今年のプレゼントは、普段使いのできる香水を選んだ。
「昼飯、食いに行こうか。」
「ん…?外食するの珍しいね。」
「銀色も来る予定だぞ。」
「わぁっ、ほんと?行こー!」
「ふっ…少し妬いてしまうぞ?」
「あ…ご、ごめんね…つい、二人が仲良くしてくれるのが嬉しくて…」
「くすっ…お前が嫌がるからな。努力はするさ。」
額に口付けを落とせば、顔を赤くさせた。
些細なことに慣れているだろうに、可愛らしい反応を返す姿。
んん…落ち着け、俺。
小さい手を握って、外へと出る。
バイクを走らせる道中、あらゆる所から視線が刺さる。
ミコがさりげなく、抱きついたまま匂いを嗅いでくる。
あまりにもピッタリとくっついているからだろうか?
それとも、俺の髪が目立っているのか?
近衛隊長は、遊びに行ってはならんと?
普段なら轢いていたかもしれない奴らを尻目に、レファンドスへと入る。
王城まで、今度は物珍しさに視線が集まる。
それらを気にせず一直線に走らせ、物陰にバイクを停めた。
入口で待っていた銀色がこちらを見つける。
そしてミコも足早に駆け寄っていった。
チッ…本当なら俺の部屋に二人きりで、甘い時間を満喫するはずだったのに…
まぁ良い…夜は俺が独占してやれば良いんだ。
銀色と手を繋ぎ振り向き、差し出された手を優しく繋ぐ。
俺と銀色に挟まれて満足そうに笑う。
まっ、別に3人でもお前が楽しいのならそれで良いんだよ…
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