継承者からの依頼
今朝も指揮本部から指令された任務を軽くこなした。
それから昼食をとって散歩をしに行こうかと、庭へ向かっていた時ラス殿に声をかけられる。
手には何やら紙を持っていた。
何か手伝いを求められるのだろうか…?
ここには随分と世話になっている。
名目以外にもここで働く意義がたくさんある。

「タイウィンとミコに頼みたいことがあるんだけど、良いか?」
「ラスさんの頼みなら何でも。」
「私達にできることなら!」
「ありがとう、実はこんな宣伝が届いてさ。」

ラスさんが差し出した紙には大きな見出しで、『カップル総決戦』と書かれていた。
他にもこの場所にはカップルがいると思うのだが…

「ひぇ〜………何だか…うーん……この内容でカップルである必要があるんですかね…」
「聞いた話だと優勝すると、裏で何やら取引話をされるらしいんだ。」
「えぇ……怪しさしかないですね…」
「だろう?他に頼む人がいないこともないんだけど、俺の中では二人が一番仲が良いなって思って。」
「…!え、えへへ……」
「そう…でしたか……少し気の緩みが出ているかもしれないですね…」
「いや、俺は二人の感じ良いと思うよ。仕事は仕事って感じだし、それに…周りに厄介話が全くない。」
「セリスさんとパヴェルさんでしたっけ、あのお二人は親御さんと張り合い中だとか…?」
「そうそう、それに二人は強いから多少無茶振りも聞いてくれるかなって。…駄目だったか?」
「いえ、ラスさんにそこまで信頼されているのであれば、応えるのみです。」

私が同意を示せばミコが嬉しそうに顔を綻ばせる。
そう言えば、君はこういう『恋人らしい』ことに憧れているんだったな。

「えへへ、タイウィンさまもこう言ってますし、引き受けますよ!」
「ありがとう、一応この会場も調べてほしいんだ。裏取引があるようなら止めてほしい。」
「任せてください!タイウィンさまとなら優勝間違いなしですもん!」
「……私はそんなに強いわけではないと思うが…」
「えぇっ?レファンドス近衛隊長様が何を!私はとても頼りにしてますよ!」
「………」
「あはは、その意気込みなら安心だな。」

あまりにも絶大すぎるミコからの信頼度に、少し頭を悩ませてしまう。
そんなに煽てられても……
でも、君の期待には精一杯応えたい。
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