任務遂行
書かれている通りの日に、示されている地図の場所へと向かえば、本当に開催されていた。
どうやらそびえ立つ大きな館もステージになっているらしい。
第一戦は闘技場に現れるモンスター達を殲滅するタイムアタック。
第二戦が脱出ゲームになっている。
さっそくエントリーしに、会場内へと入る。
今日は隊長と補佐ではなく、カップルとしてやってきた。
タウの姿を見ていると、守護騎士闘戦の日のことを思い出してしまう。
今より背丈は低かったけれど、凛々しい姿に変わりはない。
周りを見れば一般民のカップルも若干数いる。
歴戦を生き抜いたような勇猛な男の人もいれば、魔術特化のペアもいる。

「ミコ?」
「へっ……あ、エントリーできた?」
「うん、問題なくできた。武器は持参した物で大丈夫だそうだ。」
「そっか、じゃあ思う存分実力を振るえるね!」
「……一つ聞いてもいいか?」
「ん?」
「ラスさんに頼まれた時もそうだが、どうしてそんなに張り切ってるんだ?」
「……だって…格好良いタウの姿を知ってもらえるから!」
「カップルばかりなのに…?」
「うん!男の人も女の人も関係なく!こんなに格好良くて強い人がいるんだって知ってもらえるのが嬉しいの!」
「君は私のことをべた褒めしすぎだぞ…」
「嬉しくないの…?迷惑だった…?」
「…私はずっと君だけの為に、剣を振るっているつもりだったんだが…」
「……?」
「ミコだけの騎士じゃ駄目か?」
「…!え…えっと……それは…」

顔を真っ赤にさせて、目を泳がせている。
さっきまであんなに無邪気にはしゃいでいたのに…可愛いな。
この戦いもなるべく君に負担がかからないようにしないと。
開始時間がもうすぐなのか、アナウンスが流れ、闘技場の中へと案内される。
人混みに負けないようしっかり身を寄せて前に進む。
まずは4ペア協力でのタイムアタック。
一緒のチームになったあの巨男はあまり好かないが、仕方がない。
魔術カップルと一般民がちょうど1ペア割り当たるように振り分けられている。
他のチームが挑戦しているのを眺めるが…
今しがた顔を見ただけの他人同士故に、立ち振る舞い方で言い合いが始まる。
お互い気を配れば良いだけの話だとは思うのだが…
空気の悪い試合ばかりを見て、自分達の番が来る。
広い闘技場の戦場でその時を静かに待つ。
隣を窺えば、戦闘狂のような様相の巨男。
彼の動きさえうまく掴めれば或いは…
笛の音と共にモンスターが戦場へと駆り出された。
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