暇人
支給品として前々から欲しかった姿見が部屋に届いた。
うん、丁度いい高さ。
少しだけ上方に傾けて、見えやすくする。
うーん…私のこの服…よく見たらちょっと派手じゃないかな…?
胸元の大きなリボンが可愛くて好きだけど、肩からすぐずれてしまいそう…
下には黒いインナーを着ているから平気だけど、やっぱりそうなったら恥ずかしい…
裾についているフリルが、腰のラインをなぞりながらもふわりと広がっている。
このスカート、思ったよりミニ丈だったんだ…
絶対にタイツを脱げないや…
全部タウが見定めてくれて貰った仕事着だけど…
エルバレンさまより目立ってないよね…?
でも、やっぱりこの格好可愛いかも…
当たり前だよね…タウの自慢も兼ねての衣装だもん、可愛くて当然だよね。
今日は遠出で、私が行っても不利な地形での戦いになるだろうと言うことで、留守番になってしまった。
補佐としてのお仕事はローマンさんが代わりにすることになったけど、私だって一応少しは魔法を使えるのにな…
タウってば過保護なんだから…
帰ってくるのは夕方になるって言ってたから、それまで暇だなぁ…
あ、そういえば備品の整備をしようと思って出来ていなかったな。


「今日は残っている隊員さんも少ないんだ…」
「補佐殿は待機なんですね。」
「私も弓兵ですからね…」
「あぁ、なるほど…でも補佐殿がいなくて大丈夫なんですか?」
「はい、ローマンさんが引き継いでくれているので、問題は無いかと。」
「そうでしたか!今日は何をして過ごすんです?」
「うーん、備品の点検だけしたら暇になっちゃうんですよね…何をしましょう…」
「よ、よければ補佐殿に弓術を習いたいのですが、よろしいですか?!」
「…!私でよければ!えへへ、訓練の様子とか一度見てみたかったんですよ。」

ローマンさんの隊にいる弓兵さんが、話しかけてくれたおかげでやることができた。
今日は過保護さんもいないから、自由に過ごせるんだ…!
配給が終わった後も弓兵さんと談笑しながら、食事を摂る。
休憩時間が終われば一旦別れて、倉庫に少しの間籠る。
今頃エルバレンさまとタイウィンさまはどうしてるかな。
怪我してないと良いのだけど…
それと隊員さんに八つ当たりしていませんように。
元から人に厳しい性格なのに、八つ当たりまでするから怖がられているのに…
タイウィンさまってば、そんな事気にもしていない!
やっぱり駒だと思ってるからなのかな…
7/12
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