その5
「押し倒して何をするつもりだ?楽しみだな。」
「うー………」

上に乗って座っている私の腰を撫でる。
完全に悪ノリしている。
どうしようかと迷っていると、手が服の下に潜りこんできた。
片手はお尻を揉んでいる。
ほ、本当にどうしよう…!
またもやこんなつもりじゃない展開になってしまい、冷や汗が流れる。
少し頬を染めながらも期待に満ちた表情。
欲情した瞳に見つめられる。

「迷ってるなら私が教えようか?」
「に、逃げるという選択肢は…」
「ないな、その気にさせてしまった責任は取ってもらわないと。」
「そ、そんな……」
「ふふ…ところで、この薬はいつまで効くんだ?」
「えーと…3時間くらい…」
「あと2時間もあるな…その間、私は外に出られない。誰かのせいで。」
「うぅ…」
「退屈しのぎ…してくれるだろう?」

見下ろしているのに、見上げるタウの視線に負けてしまう。

「う、上はやだ……」
「じゃあ下?」
「下も…やだ…」
「うーん…分かった。」

撫でていた手を離し、体を起こした。
間近でタウに少し見下ろされる。

「これならいいか?」
「…、……」

片腕を背中に回し、手をぎゅっと握られる。
逃がす気はない、という眼差しには降参するしかない。

「タウ………薬飲ませてごめんね……だ、だから…好きにして…いいよ…」
「怒ってはいない…可愛いな…好きにしていいのか?」
「うん……」
「どうしようか…もっと意地悪したくなるな…」

スイッチの入ってしまったタウは、私をもその気にさせようとわざとらしく耳に息を吹きかける。
好きにしていいと言ってしまった以上は流されるしかない。
まだ外が明るいけれど、悪いことをしたのは私。
欲に勝ってなかったのが敗因。

「ねぇ…もし……薬に頼らずにお願いしたら…その…言ってくれた?」
「ん?…そうだな、お願いされたら断るわけにもいかないし。」
「………」
「後悔してるのか?」
「少し…ほんとはね、あれを食べて食あたりしたら嫌だなとか考えてたんだけど…」
「あはは、気持ちが勝ってしまったんだな。可愛い…言ってくれたら満足するまで愛したのに。」
「こ、今度からそうする…!」

今回はもう意地悪モードなタウにいじめられるしかないけれど…
お互い好き同士なのに気持ちを直接聞かないのも変な話だよね…
ユナには感謝したいけれど、痛い目に合うのはもうこりごりだ。
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