その4
外で誰かに見つかる前に部屋に引き入れる。
部屋は向かい同士。
立場上ミコが私の部屋に入ることに疑問を持つ者もいないだろう。

「で?その薬をわざわざクッキーを作ってまで飲ませたかった訳は?」
「………」
「ミコ?言わないと出禁にするぞ?その体に直接教える事になるが…?」
「…!!!!あ、の…その……」
「うん?」
「タウの…気持ちを聞いてみたかっただけなの…」
「ほぅ?」
「でもまさかあの場で食べちゃうとは思わなくて…!」

そうか、それで焦っていたのか…
それは焦っても当然だ……

「本当にこんなつもりじゃなかったの…!」
「分かった、もう怒らないから。顔を上げて…」
「……………」
「大丈夫、ほら……キス、しよう…?」

薬の効果に若干委ねながら、宥める。
恐る恐る顔をあげたのにそっと唇を合わせる。
少し食んでみたり、ゆっくり唇をなぞれば少し隙間ができる。
そこから侵入し、舌を捕まえて絡める。
膝の上で固く握った手に触れれば、ゆっくりと指を絡め始める。

「ん…っふ…………はふ…♡ん………っ」
「……っ…………………は…っ……………ん…」
「……タウ…」
「落ち着いたか?」
「………」コクリ
「思っていることを言えばいいのか?今なら隠せるものも隠せなさそうだし。」
「う、うん……思い切って言ってほしい…」
「少し恥ずかしいが…まぁそれで喜ぶのなら…」

いつものように膝の上に乗せて、頭を撫でたり手を揉んだり、キスを降らせたり…
そして感じていることを薬の効果に任せて、全て口に出す。

「好きだ……可愛いぞ………今日も甘い香りがするな…」
「…」ドキドキ
「ふふ…照れてるのか?可愛いな……私だけのものにしたくなる…」
「…っ………」
「顔がずいぶん赤いぞ…でもこれはミコが頼んだことだからな、やめないぞ。」
「タウ……意地悪だね…」
「意地悪?さっき騙したのは誰だったか?やはりお仕置が必要か?」
「だ、大丈夫ですっ。」

クスクスと笑いながら髪を指に絡ませて遊ぶ。
本音を聞きたいと思っていたけれど、こんなにも意地悪だとは思わなかった…!
恥ずかしくて堪らなくて、肩を押してベッドに寝かしてしまう。
何もない日はいつもの黒のシャツの上に鎧ではなく、白のカッターシャツに黒のズホン。
青色の羽織を腰のベルトで緩く締めている。
結わえた銀色の長い髪が背中からちらりと覗く。
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