任務完了
……
「なるほどな、そういう事だったのか…」
「なので自治管理が改めたイベントの主催になるのが、一番だと思います。その際に本来の主催者に、新たに手を出さない事を誓約させれば問題ないかと。」
「そうだな、その辺りはまた別の人に仲介してもらうよ。ひとまず、今回はお疲れ様だ!」
「それなりに楽しかったですよ!ラス様もメルちゃんと腕試してみては?」
「うーん、確かにこういった事はしたことがないな…機会があったらやって……ここで開催するのもありかもしれない。」
「おぉ!トーナメント戦をここで開いちゃいますかっ!」
「優勝したらご飯が無料で食べ放題にするアル〜!」
「ロマンがないな…」

今回の一件を少しぼかしながら報告をする。
あの者たちがお互い納得している以上、無理に介入するべきではない。
ただ、これ以上あの様な誘いをさせることは、見逃せない。
しかし、イベント自体はもう少し整備すれば、もっと盛り上がるに違いない。
この点を押さえての妥協案は、すんなりと検討の方面へと向かった。

「でもせっかく体を張ってもらったのに、何の報酬もないのはな…何か要望はないか?」
「…アルキィくんを見ていたら、ケーキが食べたくなってきましたっ。」
「きゅきゅ〜!グルメなアルキィを見たら、お腹が空くのも当然アル!」
「あはは、ケーキか。うん、分かった。シェフに頼んで部屋に届けてもらうよ。」
「ありがとうございます!」
「わざわざすみません…」
「いいや、ケーキだけだなんて安い位だよ。また頼らせてほしい。」
「はい、もちろん。いつでもお申し付けください。」


夕方頃、ノック音が響き迎え入れると、大き目の箱を渡された。
シェフに礼を言って、さっそく開ければフルーツがふんだんに盛られたホールケーキが現れた。
凄い…!このケーキを二人占めにしていいの…!?
さっそく少し食べてみようと4分の1を切り取って、半分こにする。
一口頬ばれば、しつこくない甘さの生クリームが広がり、キウイの甘酸っぱさが良いアクセントになる。

「んー!美味しい!」
「ここのシェフは流石だな…食べやすくてうまい。」
「お菓子は作るけど、ケーキなんて滅多に食べられないから…とっても幸せ〜…!」
「ふふ、良かったな。また暇な時に出かけて、美味しい物でも食べに行こうか。」
「ん!良いね!えへへ、デート!」

嬉しそうに笑うミコにつられて、頬が緩む。
今回の一件でちゃんと守ってあげられて良かった。
私も君も、お互いがいないとダメになってしまっている。
だからこそ、もっと幸せにしてあげたい…
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