王座
メインストーリー沿い//割と暗め

「ミコ、調子はどうだい?昨日はゆっくり寝られたか?」
「…はい…エルバレン様…」
「あぁ、よく寝ていたぞ。今朝は寝坊するかと思う位にな。」
「そっか、それは良かった。睡眠不足は大敵だからね。」

あどけない顔で笑うエルバレン様。
どうしてエルバレン様が王座に座っているの?
シュネル様はどこに行っちゃったの?
ローマンさんもタイウィンも何だか雰囲気が違う。
おかしい、おかしいはずなのに。
何がおかしいのかよく分からない。
もやもやとシュネル様とお話をする記憶が、頭の中にある。
けれど、全部霞んでよく思い出せない。

「ミコ?どうかしたかい?」
「……シュネル…様……」
「……はぁ…まだ洗脳が足りないようだね。僕は君の事を気に入っているからこそ、そのまま抜擢したのにな。」
「申し訳ありません、主君。少し手加減してしまいました。あまり強いと自我が崩壊しますので。」
「それは困るな。まぁどうするかは、ローマンに任せるけどね。」
「ありがとうございます、必ずや満足いただける様に仕上げます。」
「あまり俺のミコを弄るなよ。」

ローマンさんと一緒に外へと連れ出された。
どうしてシュネル様を呼んじゃ駄目なんだろう…
エルバレン様とシュネル様は義兄弟なのに…
何で?どうして?
そういえば、リシャさんもどこに行っちゃったの?
よく顔を見せに来ては、外出を強請るのに。
あれ…?
シュネル様と婚約旅行に行ったんだっけ…?

「今の主君はエルバレンですよ、ミコ。」
「……はい…」
「シュネルとリシャは、この王国全てをエルバレンに託したのを、忘れたのですか?」
「…そうでしたね…」

あぁ、やっぱり。
自由を求めてたシュネル様と、それを案じていたリシャさん。
二人がようやく婚約して、それから一般人へ降格したんだっけ。
それでシュネル様はエルバレン様に王座を開け渡した…
そっか、そうだったね。

「……ローマンさん…」
「はい?」
「…黒髪…じゃなかったですっけ…?」
「あはは、元から茶色ですよ。」
「………」
(エルバレンの事は順調だが、我々の方はあまり良くないな…)
「あの…タイウィン様のお側に戻っても、良いですか?」
「あぁ、えぇ…話はこれ位ですから、大丈夫ですよ。」

一礼をして去る姿を見送る。
私の事は混同していても、タイウィンの方は彼自身が何とかするだろう。
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