俺だけの
「タイウィンさま……タウ……怖かったよっ…!」
「大丈夫だ…大丈夫……」
「ぐす…っ………スンッ……たう…ぅ…」
「怒鳴られてビックリしたろ?変な輩もいたもんだな?」
「…ぅん……」
「どうやらスパイだったらしいんだ。」
「そう…なの…?」
「あぁ、ただお前を狙ったのは馬鹿馬鹿しいがな。」
「…そういえば…タウが見に来てくれたんだっけ…?」
「あぁ、行った場所から怒号が聞こえてくるもんだからな。心配になって覗きに行ったんだ。」
「そっか…ありがとう…タウがいなかったら、私どうなってたか分からないや。」

本当にそうだ。
俺が見に行ってなければ、今頃ミコは正気に戻ってしまっていただろう。
そうなれば、もっと…精神に触れる程の洗脳をしなければいけなくなる。
…そんな事をしたら、俺の可愛いミコではなくなってしまう。
許してたまるか。
胸元に抱きついたまま、温もりを確かめられる。
抱きしめてやりながら、ベッドに埋もれる。
すると、真っ赤な顔を覗かせながら、目を合わせる。
まだ動揺しているのか、瞳が揺れている。

「タウ…私は……タウだけの…補佐だよね…?」
「あぁ、そうだ。俺だけの可愛い補佐だ。」
「うん…私は…大好きな人の補佐さん…」

目を閉じながら、自ら唇を重ねる。
果たして、その大好きな人とは俺だけを指しているのだろうか。
まさか、銀色のタイウィンの姿はないよな?
何を思い浮かべているのかなど、知りえないがアイツと重ねられるのだけは勘弁してほしい。
いくら姿を模していたとしても、俺だけを見て、俺に縋ってほしい。
その身体にも必要なのは俺だけの証。
それまでの物などいらない。
ミコは俺だけの者なんだ。
他の男を見るのは、決して許さない。
俺にとっても、エルバレンにおいても。
控えめなリップ音を鳴らしながら、距離を置く。
瞳は間違いなく俺だけを見ていた。
そうだ、俺を見てアイツの事なんて思い出さなくていい。

「ミコ…好きだ。」
「…私も………タウのことが、好き。」
「ミコ、愛してる。」
「タウ…大好き…」
「愛してるって言ってくれないのか…?」
「は、恥ずかしいんだもん…」
「言ってほしい…」
「ぁ……あい…して、る…ッ…」
「あぁ、俺も。」

これ以上にない程、顔を赤らめてしまった。
良い表情だ…
お前の心はもう俺だけの物だ。
ずっと俺の傍にいるんだぞ。
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