第三
「ぐす…ぐすんっ……もう私お嫁にいけないよぅ…っ…」
「ほんっっとーにごめん…絶対私のせいだ…」
「きっとこの後はとてもいい事が待ってますよ…!だから、元気出してください…!」
「いやー…それにしても見事な『ラッキースケベられ』た事故だったわねぇ。」
「火縄に何て思われてるか…っ!もう顔合わせられない……」
「た、多分…ラッキー位にしか思ってないわよ…名前に『ラッキー』ってつく位なんだから…」
「平手打ちされた時、悪くないって言ってたよねぇ。」
「も、もうやめてぇ…」

これ以上言われたら発火して焔ビトになっちゃうよぅ!

「ここにいたのか、大丈夫か?あぁ…俺は気にしていないから心配するな。」
「火縄……」
「どうせ夜に見てるんだからな。何も気にする事はない。」
「っ?!!!このばかっ!あのムッツリ中隊長燃やして!」
「デリカシーの欠片もねぇ…」

心配して来てくれて嬉しかったのに、とんでもないことを暴露されて今度は怒りで燃えてしまいそう!
いや!燃えるのは火縄の方だ!
あのクソダサ帽子メガネ野郎め!


激おこのミコは、屋上に行ったまま戻ってこない。
何があったのかは知らないが、あれは相当に頭にきてる様子だったな。
日も傾き始め、少し肌寒くなってきたのか、ようやく戻ってきた。

「はぁ………」
「あ、ミコさんそこ踏んだら…」
「…?ひゃぁっ?!」

どてーん!
転がっていたボールペンを踏んで派手にコケた。

「痛い……いたい…?あれ?!」
「…治った?」
「………みたいですね。」
「わぁ!タマキちゃん!治ったよ!」
「良かったぁ……もう治らなかったら私どうしたら良いか、分かんなかったわ!」
「もうあんなこと起こるのは嫌だ…」
(一生起こってても俺は構わなかったんだが……)
「………、…何で火縄そんな残念そうなの!」
「…そう見えるか?」
「む……火縄なんか嫌い。」
「…!」
「まぁまぁ、喧嘩するなって…ほら、治ってよかったなぁ!」

背中を触ろうとしたのに私が振り向いたせいで、その手は…

「……え…」
「………〜〜〜〜ッッッ…??!!!」

ばっちり胸を触っていた。

「いや!これは!」
「大隊長…!」
「そ、そんな……今度は桜備兄……??」
「お、落ち着け!火縄!うぉっ?!」
「きゃっ!」

銃を向けられ後ずさった桜備兄に押されて倒れる。

「あちゃー………」
「うぅ……気をつけ……ひゃあぁっ??!!!桜備兄のえっち!!」
「……す…ま……ない……」

顔が胸に埋もれてしまっていた。
これはどうやら治ったんじゃなくて、対象が変わっただけみたいだ……
私の平穏よ!早く帰ってきてー!!
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