第三
「ご、ごめんなさい……そんなこと言ってたなんて…」
「………」

まさか日頃思っていることを暴露していたなんて…

「これはただの酔っぱらいの言葉なのか?それとも本心なのか?」
「…………」
「……俺は本心だったら…嬉しい…」

その言葉に驚いて、顔をあげる。
桜備兄の顔は真っ赤になっていた。
私ももちろん同じくらい赤くなっているだろう。

「……本心…だよ。」
「…え……」
「桜備兄のこと、本当に好きなの。」
「男として…恋人になりたいって…そういう意味でいいんだな…?」

声を震わせながらも尋ねる言葉にゆっくりと頷く。

「…まさか、そんな風に思ってくれてたとは思わなかった…」
「私もね、いつからか分からないけど…桜備兄のこと好きって…思ったの…」
「俺が恋人で本当にいいんだな…?」
「桜備兄じゃなきゃ嫌…」
「……ミコ…!」

大きな体にぎゅっと抱きしめられる。
暖かくて優しい大きな存在に包まれて、心が満たされていく。
そっと背中に腕を回せば、さらに強く抱きしめられる。

「えへへ……桜備兄と両思いだったんだ…」
「へ、変か…?まだよりもう30って歳だけど…」
「まだ30だよ、桜備兄!それに…私…ずっとお兄ちゃんだと思ってたから…桜備兄もただの妹としてか見てないと思ってた…」
「そんなことは……大分前から…意識してた…」
「…!」

私の身長に合わせてしゃがみ、視線を間近で絡ませてくる。
普段は身長差があまりにもありすぎて、遠かった瞳が目の前にある。

「キス…してもいいか…?」
「……う、うん……」

ごくりと喉を鳴らして近づく顔にそっと目を閉じる。
胸の前で握った手の上から桜備兄の手が重ねられる。
もう、すぐそこに息を感じる。
私のファーストキス…桜備兄と………
ガチャッ

「大隊長、少しい………しししし、失礼しましたぁぁぁ!!」
「………」
「………」

いきなり扉が開き、マキちゃんが入ってきた。
目の前でキスをしようとしている私たちを見るなり、顔を真っ赤にさせて出ていってしまった。
心臓が痛いくらいに激しく鳴っている。
あ……桜備兄と………できると…思ったのに…

「ミコ、こっち。」
「……っ!」

扉の方から桜備兄の方へ振り向けば、リップ音と共に唇が触れ合った感触。

「お、桜備兄……」
「…し、幸せにしてやるからな…!」
「…うんっ、桜備兄…大好き…!」

好きの気持ちをいっぱいに抱きつけば、優しい笑顔でいっぱいになった。

(大隊長とミコ、ついに結ばれちゃったのね?!これは一大ニュース!!)
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