憂き世別れ1



それは雪がしんしんと積もる朝のこと。彼は一歩城門からでると積もった雪の地面からぎゅっという音がした。数歩歩いて彼は振り返る。降り続ける雪のなか、高くそびえ立つ城を無言で見上げる。それは彼、忍者の伊賀崎孫兵が勤めている城であった。

孫兵が城を見つめているともぞりと彼の胸が動いた。孫兵はその存在を確かめそっと服の上から撫でる。

「・・・寒いね。行こうか」

孫兵は振り返るのをやめて雪道を進んでいく。性分により城を追い出された彼には行き先にひとの当てなどなかったが、そんなことはどうでもよかった。ただ孫兵にとって大事なのはこの胸にいる大事な相棒の存在と、彼の愛する生き物たちど今後どう暮らしていくかが大事なのだ。

「そう、ジュンコたちをいやがる城の人たちの言うことなんてどうでもいいんだよ。僕たちは僕たちだけの場所で暮らそう」

そう呟いて彼は歩き続ける。この山のどこかにある、自分達の楽園を求めて。




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