続・寮生活のススメ



「苗字ちょっといいか?」

「ん?どしたの轟君」


寮の共有スペースに向かっている途中、クラスのイケメン轟君に引き止められた


「緑谷は言わねぇほうが良いって言ってたが・・やっぱ悪いと思って」

「んん?何の話?」

「三日前くらい、風呂で話してる事聞いちまった。わりぃ」


一体何の事を言ってるのかと困惑しながら記憶を辿る
三日前・・・風呂・・・
確かあの日はお茶子ちゃんと一緒にお風呂に入って・・・色々喋って・・・・・!
そうだ・・・!色々喋っちゃった・・!!ま、まさか・・・
サーッと自分の顔が青ざめるのを感じる


「も、もしかして・・・・」

「苗字が爆豪の」

「わー!わー!待って言わないで!」

「あ、あぁ・・あの時俺達も風呂入っててよ、聞く気はなかったんだ。すまねぇ」

「ううん、人が居ないと思って話した私が悪いよ!謝らないで!・・・・ん?俺達・・?」


律儀に謝ってくる轟君に恥ずかしくなりながらも謝罪はいらないと伝えていたが、轟君の発言に気になる言葉が入っていた。
そういえばさっき轟君、緑谷は言わないほうが良いって言ってたって・・・


「あぁ、俺と緑谷・・・後爆豪もいた」

「ヒェッ!?!?」


言わないで欲しかった!!!
ば、爆豪君にも聞かれてた・・・!?私が爆豪君を好きってことを!?お、終わった・・・!色々終わった・・・!!!
色々な感情が入り混じり、ジワッと涙が浮かんできた


「わ、悪い、泣かせるつもりはなかった」


涙を流し始めた私に焦りを見せた轟君に「気にしないで」と声を出そうとしたが、私の頬に轟君の手が触れたことによって引っ込んでしまった。


「と、轟君!?」


「今ハンカチもってねぇんだ」と言いながら轟君の親指が私の涙を拭う
至近距離のイケメンの行動に顔が熱くなるのを感じながら、私の脳はキャパオーバーだ。感情が追いつかない



「何しとんだ、てめぇ」


地を這うような低い声が響いた。
声の聞こえたほうを見ると、爆豪君がいつも以上に怒った顔で私達を見ていた。

わー爆豪君、今日も格好いいなあ〜。

唯でさえキャパオーバーだったというのに本人が降臨したことにより、現実逃避するしかなかった。
轟君が答える為に口を開く前に、爆豪君がズンズンと私達に近寄って来る。手が届く距離になった時、爆豪君の手が伸びてきて私の腕を掴みグイッと引っ張られる


「う、わっ!?」


ボスッと正面から爆豪君の肩にぶつかる。

わー爆豪君、身体鍛えられてるな〜なんか甘い匂いもする〜


「こいつに何した」

「・・・謝ってた」

「あぁ?何をだよ・・・てめ、まさか」

「この前、風呂で聞いたこと。お前も謝っとけよ」


そう言い捨てて、轟君は部屋に戻っていった。嘘でしょう!?
固まってしまった爆豪君と爆豪君にくっついたまま固まっている私。この状況をどうすればいいのだろうか


「・・・・おい」

「はっ、はい!」

「・・・・離れろや!」


怒鳴るように言われた言葉に、引っ張ったのは爆豪君だよ!と言いたくなったがそんな勇気は持ち合わせていなかった。
シュバッと離れた私に舌打ちを一つ溢してそのまま部屋に戻ろうとする爆豪君を引き止める


「ま、って爆豪君!」

「・・・あぁ!?」


いつもと同じ様な半ギレ具合だが、どこかいつもよりも威圧感がないのは気の所為だろうか
どうせ聞かれてしまってバレているんだ。このままぎこちない思いをするくらいなら、精算してもらおう。そう決意した


「す、きです・・」


思ってたよりもかすれた声になってしまったが、この距離ならきっと届いただろう
珍しく目を見開いて固まった爆豪君。まさか私が今ここで言うと思わなかったんだろう。
振られる覚悟は出来ている・・さあ思いっきり振ってくれ・・・!


「〜〜〜ッ!あ"ァ〜!クソが!」


そう言ってまた、私の腕を引っ張り引き寄せる。今度はしっかりと私の後頭部と肩に爆豪君の腕が回り、完全に抱きしめられている形になっていて、振られる覚悟で身を引き締めていた私の身体が別の意味で固まる。
頭を下げた爆豪君のフサフサした髪が私の首に当たる。


「一度しか言わねぇ。・・・・俺もだ」


耳元で呟かれた言葉に、そこは「好きだ」って言う所じゃないの?と思いつつ、爆豪君らしい言葉に嬉しさが込み上がり、一度止まった涙がボロボロと流れてくる。爆豪君の顔を覗くと私と同じくらい真っ赤な顔をしていた。
思わず「真っ赤」と言葉が溢れると、私の頬をつねりながら「うっせぇ!てめぇのほうが赤いわ!」と言葉を返された。