:家庭教師ヒットマンREBORN!
:沢田綱吉
もしも私の長所を上げろと言われれば、私は迷わずこう言っただろう。
好奇心旺盛で、興味を持てばとことん積極的なところ。
決して自慢できるようなものはないけれど、唯一確信を持って言えるもの…だったのだけど、生まれて14年目。それを後悔する日は来てしまった。
「待ってよ依泉ちゃんー!」
「私は帰るのツナ君。離して!」
「離さないぃー!」
現在地:沢田家子供(綱吉)部屋
その部屋の中心にいるのはリボーンと山本君、獄寺君。扉の前には私……とその片腕を涙目になりながら必死に掴むツナ君。
幸い屋内なので見られる事はないが、もし状況を理解していない人がその場にいれば、どうしても奇妙な光景にしか見えないだろう。
「大体!何でツナ君の勉強に私が付き合わなきゃいけないの!?」
頼ってもらえるのは嬉しい事であって、もしもツナ君単体で頼まれていれば喜んで教えただろう。そう。あくまで単体だったらで、今は状況が違う。辛辣な言葉に聞こえるかもしれないが、だからと私が咎められるのはお門違いだと思う。
「お前割と成績良いんだろ」
「ま、俺程じゃないですけどね!」
やたらに張り合ってくる獄寺君は放っておくとして、事の首謀者である筈のリボーンがカップ片手にくつろいでいるのは納得できない。割とって失礼な!
「2人とも頭良いんだから、私がいる必要ないでしょ」
ツナ君並の成績である山本君はともかく、勉強なんて万年満点の獄寺君にでも頼めば良いのに……!
「今日は休業日なんだぞ」
「賑やかなのなー」
我関せずとでも言うようにコーヒーを啜るリボーン君にいつもの天然節宜しくにこやかな笑顔の山本君。そして、握り拳を携えた獄寺君。
「10代目の為ならこの獄寺、勉強でも何でも喜んで付き合わせて頂きます!」
「ほら!獄寺君やる気満々」
「いや、獄寺君と山本が絶対喧嘩になるんだって!」
読者様はもうお気付きの事と思うが、その場で困った顔をするのは私とツナ君だけだ。けれどツナ君は更なる不幸を招くまいと私を離さず、結果それ以上の被害を被る羽目になるのは私だった。なんて悪循環!なんて不幸!
「じゃあ何で山本君を連れてくるの!」
まさか勉強において山本君に期待した訳じゃないだろうに。……嫌がらせ?
「この機会に山本の学力も上げとこうと思ってだぞ」
「つまりはリボーンの仕業ね!」
全くもって録でもない赤ん坊だ。今も楽しそうに口端を持ち上げるそれは明らかに確信犯。
「お願いだから家にいて……!」
「いーやー!何で私が獄寺君のストッパー役しなきゃなんないの。大体ツナ君の成績なんて、私には関係ないもん!」
「そんな冷たい事言わないでよー!」
そりゃ言いたくもなるってもんだ。来る日も来る日も精神が磨り減る思いとはよく言ったもの。このボンゴレファミリーとやらに関わってからの私の日常は非凡の一途を辿るばかりだ。
……興味本位で首を突っ込んだ当時の自分が憎い。
「知らないってばぁあ……!」
とにかくこの魔の巣窟から抜け出さなければと足に力を籠めるが、残念ながら身体は着いてきてはくれなかった。ぐぐぐとダメツナにあるまじき力強さで腕を引っ張るツナ君はどうあっても離れてくれはしなかった。
うんざりだと一歩を踏み出すも、ツナ君はがしっと腕を引っ張りながら一生のお願いとばかりに口を開いた。その図はまるで運動会の綱引きをたった二人でしているような。
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