「まっ、ツナには良いトコいっぱいあるよ。私が言うのもなんだけど自信持って!」
「う……うん」
「大丈夫だって。相手の人だってきっとツナの事分かってくれると思う!」

急にテンションを上げるのは依泉の、消極的なオレへの精一杯のエールだったんだろうけど、


「依泉は?」
「……へ?」
「依泉はオレの事分かってくれる?」

それはオレの言葉で消え、教室には静けさが戻る。今、聞いておかないと。お互い口を開かない状態に気まずくなってしどろもどろし出したオレに、分かってると遅れた返事を返したのは依泉だった。

「だって、私ツナの事好きだもん!」
「…………えぇえ!?」

いつの間にか椅子から立ち上がり、猛スピードで教室を出て行こうとする依泉。思いもしなかった告白に数秒後ようやく我に帰ったオレも、依泉を追うべく走り出した。

「ま……っ待ってよ依泉!本気で言ってる!?」
「嘘で言う訳ないでしょダメツナー!」
「なっ!だって中1の時って言って……ぶっ!」

廊下で鬼ごっこを繰り広げていたオレ達…いや、オレは足を滑らせ転倒する。こんな時でも格好決まらないなんて!ふと見た壁に「廊下は走るな」と貼り紙が貼られていたのが憎らしい。「大丈夫!?」と逃げていた筈の依泉が走り寄ってきて、ああ今はそれ所じゃなかったと立ち上がる。
だって、オレ達が逢ったのは中2になってからだろ?そう言うとキョトン顔をした依泉は、知らないの?と逆に質問を返した。何が?

「1年の時から、ツナ結構有名だったんだよ。ダメツナとか変態とか」
「うっ……」

出来れば掘り返してほしくない過去だった。いや、不本意ながら今もダメツナは言われてるけど!

「けどね、そんな人が球技大会で活躍して、挙げ句剣道部主将を倒しちゃうなんて私は凄いと思った」

まぁ、あの勝負法には笑ったけど。思い出し笑いでもするように口元を手で隠した依泉に、少しだけショックを受けたのは仕方ない事だと思う。というか話の本筋から離れてるような?と考えた矢先、依泉は表情を少しだけ引き締めた。

「けど山本君を体張って助けた時に、」
「っあれも見てたの!?」
「まぁ……友達に連れてかれてね。皆馬鹿にしてたんだけど、私の心には響いた。ツナの言った言葉が、凄く」

なんか恥ずかしいとこばっか見られてない?と自分を責めるべきか、オレが変態とか言われる原因を作った自称家庭教師を責めるべきか。難題に頭を悩ませていた思考は、依泉の言葉で頭の片隅に追いやられた。

「この人ダメツナなんてあだ名似合わないなって、思った時には……惚れてた」

ああ、依泉はちゃんと分かってくれてた。『死ぬ気』でも『ダメツナ』でもない、ダメダメなオレ自身の事を。

「だから同じクラスになって仲良くなれて、凄く嬉しかったんだよ」
「……依泉」

どこかホッとしているオレの顔は今、きっと頬を染めた依泉よりずっと赤いんだろう。どうしよう、嬉しい。

「迷惑なの、分かってるけどさ……」
「依泉……迷惑じゃ、ないから」

言葉を遮ったオレの名前を不思議そうに呼ぶ依泉に、心拍数がその音量と共に上がっていく。当たり前だ。死ぬ気でも何でもない、沢田綱吉として人生初の告白なのだから。

「オレも依泉の事……好きだからな!」

大きく揺らいだ瞳は、想定外だったらしい驚きを表していた。思っていたよりすっと出た言葉に自分でも少なからず驚きながら依泉の反応を待っていれば、小さく笑った彼女は微笑を浮かべていた。

「鈍いところも、かな」
「え?」
「ツナの良いとこ」
「な……っそれ、依泉だって人の事言えないだろ!」

お互い自覚の無い鈍さを指摘され、これが告白直後の会話かと思うと可笑しくなる。思わずどちらからともなく笑いあった時には、教室で待ち受けるやりかけの課題なんてすっかり忘れていた。


二十七個の良いところ、私なら全て言える

「やっぱりさ、さっき言ったの撤回する」

教室に戻り夕暮れの中補習課題を解いていれば、先生をしてくれていた依泉が突然呟く。何か公式でも間違えたのかと問題を見返すオレに、依泉は随分と前の自分の発言を取り消した。

「他の恋なんか、しなくて良いから!」

頬を染めながら言った依泉に心中可愛いと云う言葉が当てはまったオレの補習は、まだまだ長引きそうだ。


end.
‐‐‐‐‐‐
色んな要素を詰め込み過ぎて見返すのが恥な程のベタベタな話に……!
ヒロイン変態チックだと思う(観察力に長けていると言おうか)。

そしてそしてサイト様にて一目惚れしたお題を使わせて頂きました!初の試み。ありがとうございました!

お題提供:Copy!Copy!Doll!

執筆2008.03.30.sun
加筆2009.03.28.sat

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