:銀魂
:捏造あり、not夢、真選組の日常だらだら


半月が常闇の空に輝く日の天下……舞台の始まりは何とも無しのしがない食事処に置かれる。

「御用改めである」

無音と化した店内に独特の低い声が響く。それの持ち主である黒衣の青年は片手に持つ日本刀をギラつかせ、切っ先を真っ直ぐと床にへたり込んだ男へと向けた。その男には既に戦意の欠片も残ってはいないのだったが。
周りには幾つかの屍と、青年と似た黒服の軍団が取り囲み、逃走不可能を悟った男は喉奥から小さく悲鳴を出した。

「……真選組だッ!」




「いやー昨日はご苦労さん、トシ」

豪快な笑い声が廊下まで響き渡る。門前に掛かる看板からは真選組屯所の文字が伺える。
広々とした敷地内には相応しい和風な建物がいつもと変わらぬ佇まいでどっしりと構えており、その一室で大変に上機嫌であるゴリ……局長の姿は何を隠そう、昨晩我ら真選組に牙を向く攘夷志士軍の拠地を一つ潰せたというのだから当然とも言える。

「よくやった。お前はよくやったよ!」

その手柄を持ち帰った人物とは、現在進行形で局長に肩を叩かれ、それを迷惑そうにじとりと見つめる副長である。2人の姿を確認した俺は廊下でピタと足を止めた。あの人達の会話中に割って入るなど、誰が好んでできようか。
どうも山崎退です。日頃反政府側への潜入捜査ばかりの所、本日は視点を変えこの山崎、我が城真選組を紹介し……

「誰の城だと?」
「ふ、副長!いつの間に……局長との話は済んだんですか?」
「テメェが廊下で騒いでやがるから、何事かと思えば」

この人は土方十四郎。真選組の頭と言われる猛者で実質No.2。とは表向きの顔、実の所極度のマヨラーなんでコノ人の食事姿は見ない方が吉。あとヘビースモーカーでもあるから正直ヤニ臭く…

「ほぉ……それが本音か」

目の前にいる人物の台詞が数秒間脳を悩ませた。まさかと冷や汗を生ませた結論に喉が引きつる。否定懇願を籠め一応聞き返すものの、黒から覗く青筋からは全く宜しい状況でない事くらい、推測せずとも分かってしまう。
そしてやはり一秒後には予感は現実のものとなってしまう。何故なら副長の性格はというと、

「全部口に出てんだよ。覚悟しろ山崎ィイイ!」
「ギャァアアァア!」

この通り非常に短気だからです。
……そんな訳で此処からは高速移動で屯所内を徘徊させて頂きます!


「待てぇえ山崎この野郎!今日と言う今日は俺がその曲がった精魂叩き直してやる。そこになおれ!」

鬼の副長の名に相応しく鬼の形相をしたその人に追い回された俺には最早、素直に殺される以外逃げるしか選択肢は残っておらず。すみませんを繰り返しながら建物に沿って回廊をぐるぐると逃げ惑う事約3分。ああもう駄目だ、捕まる。これでもいつもと比べれば俺は頑張った。などと自分を慰めつつ腹をくくった時……

「ブフォッ!」

ずべしゃっ!なんて音が背後で聞こえて驚きつつも足を止め振り返れば、そこには床に突っ伏す副長の姿。


「あ……あれ?」
「土方さん、なーに昼間っから部下と追い掛けっこなんかしてんでィ」
「そ……総悟テメっ……!」

鬼をいとも容易く足に引っ掛け、曲がり角からどーん、と救世主の如く登場なさったのは副長の座を狙う沖田総悟。隊長格である。

「仕事はどうしたィ」
「テメェにだけは言われたくねェエ!お前こそ何で此処にいんだよ。今はお前、巡回の時間だろーが!」

剣の腕は確か、一方でサボり魔の異名も伊達じゃない。そんな人が副長と気の合う訳などなく、放っておけばお約束の様に話は広がっていき…

「俺がおちょくってんのは土方さんだけでさァ!」
「よーし表出やがれ」
「うるさいぞ君達」

あぁ、こりゃ暫く続くな…なんていつもの事ながら溜め息をついた時、スーッと近くの襖が開き今度こそ救世主が現れた。(アレ?でも俺って今副長から逃亡してたんじゃ……まいっか)

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