03
「ふわぁ…。…ん?ここは…?」
「あ!起きた?」
「っ!」
見覚えのない部屋の天井を見上げていると、扉からオレンジ色の髪の可愛い女性が顔を出す。あれ、この人って確か……。
「えっ!?そ、そそ、ソニアちゃん!?」
「お!知ってくれてたんだ〜。昨日夜中に突然ダンデくんがあなたを連れて来てビックリしちゃった!」
「そ、そうだ…ダンデに…」
そうだ、昨日部署の飲み会でベロベロに酔った私は誰かの予言に従うかの様に、無意識のうちにダンデの広告が流れているデジタルサイネージに向かったのだ。
その前で力尽きてほぼ夢の中だった私を介抱しようとしたのが広告の人物、ダンデだった…はず。いや、それは夢?どこまでがリアルでどこまでが夢かがわからない。
「もしもーし。大丈夫?」
「アッハイ!ダイジョブです!あの、ご迷惑をお掛け致しました。ここは……、研究所、ですか?」
「フフ、歳近いよね?敬語は無しにしよ!あと、こんなこと初めてでビックリしただけで、迷惑じゃないから大丈夫だよ。ここはマグノリア博士のポケモン研究所、つまりブラッシータウンだね。空飛ぶタクシー呼んどいたからもうすぐ来ると思うよ」
「あ、ありがとう……!」
はわ、何から何まで……。神様、女神様、ソニア様だ……。
「あの、じゃあまた今度何かお礼させてもらうね。連絡先の交換とか大丈夫、ですかね……?」
「あはは!勿論大丈夫だよ!あ、そういえばダンデくんからメモを預かってたんだった!」
「ひぇ」
可愛らしいネイルが施された手が差し出したのは、ノートの切れ端が小さく畳まれた紙切れだ。恐る恐る開いてみるとそこには送り主の連絡先であろう数字と文字の羅列があった。な、何故。
「え、珍しい!ダンデくんが電話番号とメールアドレス渡すなんて!あなた一体何をしたの?」
「な、何もしてないです……。強いて言うなら……街中で寝かけていたくらいで」
「街中で!?だいぶ飲んだみたいだったもんね。初対面でこんな事言うのも何だけど、……もうちょっと加減した方がいいよ?」
「アハハ……、肝に銘じます……」
──ピンポーン
「はーい!タクシー来たみたいね。はい、これあなたの荷物ね」
「ありがとう……絶対お礼します!」
「もう、気にしなくて良いのに。でも連絡は嬉しいから待ってるね!じゃあ気をつけて!」
「うん!」
ソニアちゃんに見送られながらタクシーに乗り込む。マンションの住所を告げ、座席にもたれかかる。ポケットに手を突っ込むと紙が手に当たり、これが現実だと思い知らされる。
なんでダンデは私に連絡先を?お礼目当て?いや、あのダンデはそんながめつい男じゃないだろう。多分。
とりあえず、助けてもらったのは俄には信じ難いけど本当の事だし、連絡先を受け取ってしまったし。とりあえず失礼のない様にお詫びとお礼のメール送って。そうしたらこの紙と連絡先は処分してしまおう。
何がどうなったら推しにお詫びする人生になるの。悲しすぎる。
- 尻を見ろ
- @osriskwii_ne
なんか、やばいことになってしまったぞ…
嬉しいはずの週末が心休まらずに終わりそうだ。