04

 気づけば眠ってしまっていたほど交通ルールに乗っ取った安全な運転で、タクシーがマンションに着いた。ブラッシーからシュートまでの長距離飛行になってしまったので代金とチップを多めに運転手さんに渡しておく。

 部屋に入り何もかもをほっぽってリビングのカーペットの上に寝転ぶ。未だに昨夜飲みすぎた影響でズキズキと痛む頭とうっすら覚えている推しの体温と香り。そしてソニアちゃんの優しさ。

 ひとまずシャワーを浴びようと起き上がるも、推しとの接触があったというのに洗えるのか、洗っていいのかと喚き叫ぶ心の声が聞こえる。あれ、そういえば私……、何気にダンデのお尻を揉んだような。程よく張っていて硬さはもちろんあり、でも意外と柔らかかったよね。ひ。

  • 尻を見ろ
  • @osriskwii_ne

ひぇ〜〜〜!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(私が爆発四散する絵文字)


  • 尻を見ろ
  • @osriskwii_ne

私は死ぬので骨はシュートに埋めてくださいね。できればシュートスタジアムの近くにもちょっとだけ撒いてください。嘘です。もう死んでます。



 私の人生中々捨てたもんじゃ無かった。推しであるダンデを追っかけてシュートに移住を決めた私に拍手喝采を送るね。ありがとう、私。

 馬鹿な事に思考を切り替え少し落ち着けたので通知画面を開く。朝の呟きをみておにぎりが心配してくれていたようだ。死んだし大丈夫じゃないけど大丈夫だよと送っておく。どっちだよと突っ込まれそうだが、大丈夫かどうかは私が聞きたいくらいだ。

 すーはー、と深呼吸をし意を決して起き上がる。私はやれる女だ!ダンデとはまた接触できるイベントはある!チケットを死ぬ気で手に入れれば良いだけだ!私はシャワーを浴びるんだ!と自分自身を奮い立たせながらバスルームへ向かう
 丸一日以上入ってないんだからと心を無にしサッと浴びてサッと部屋着に着替えた。シャワーを浴びている最中に、触ったのは主に尻だったので服の上じゃんと気付いてからは少しだけ心が軽くなったのはここだけの話だ。

 脱ぎ散らかした服を拾い集め、偶々だったとはいえ接触記念としてしばらくは観賞用にとカーテンレールに掛けておく。と、ジャケットのポケットから何かが落ちた。

「あ゛っ」

 落ちたのは記憶から抹消しようとしていた紙で。捨てると意気込んでいたものの、今まで買い集めてきたダンデのグッズ一つでも捨てられない私にそんな事出来る筈が無い。そもそもまずは連絡をしなければいけないし。
 頭を抱えているとスマホがメッセージの通知を鳴らす。

『やっほ!ソニアだよ!
 もう家に着いた?連絡無くて心配でさ。
 まだお酒残ってると思うから今日は安静にしときなさいね!』

 そ、ソニア様〜……!優しすぎる……。女神じゃんかこんなの……。そしてメッセージ送るの完全に忘れてたごめんなさい。

『ソニアちゃん!連絡できてなくてごめんなさい!!
 少し前に着いて、シャワー浴びてました!』

『よかった!安心したよ!』
【ワンパチの笑顔のスタンプ】
『そういやダンデくん、かなりアナタの事気にしてたからちゃんと連絡してあげてね?』

 ひえ、ソニアちゃんに釘を刺されてしまった。いやでも、えぇ……?そんな、推しにメールを送るなんて、そんなそんなそんな大それた事、私には出来ないよ……。私を認知しないで。

『善処します』

『もう、私からは言ったからね?
 じゃ!ゆっくり休んでね』
【ワンパチが手を振るスタンプ】

 あの、ワンパチのスタンプめちゃ使ってくるの可愛いですね……ありがとうございます。無料でダウンロードしておいたガラルヤドンのユルいスタンプを送っておく。

 床に目をやると数字と文字が羅列されている紙が視界に入る。ソニアちゃんには善処するって言ったんだもん、出来そうだったら連絡するって事で……とテレビの前に飾っているダンデとリザードンがプリントされたマグカップに入れる。
 やっぱり私に推しに関連するものを捨てる事は出来ないんだなあ。ごめん、昨日の私!

  • おにぎり
  • @oishi_gohan
@osriskwii_ne
いやどっちだよ


 いやホントにな!
 期待通りのツッコミサンキュー!おにぎり!

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