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「サーヴァントアヴェンジャー、曹孟徳だ。この俺を呼び出すとはいい度胸だな。ふん、せいぜい上手く扱ってみる事だ。」

召喚の儀によりこの度召喚された英霊(サーヴァント)が怪訝そうに口を開く、人類最後のマスターである藤丸立香は此度の英霊のあまりの奇妙さに驚いていた。
召喚に応じたのは、かの有名な三国志の英傑、曹操。ライネスこと司馬懿の元君主であり、魏王だ。立ち振る舞いこそ堂々としており、カリスマ性を感じさせるが、問題はその容姿だった。どう見ても女性にしか見えないのだ。肩まで伸びた透き通るような瑠璃色の髪、燃えるような大きく赤い瞳。口元からは八重歯が覗かせている。服装は、おそらく日本のどこかの学校の制服だろうか。ワイシャツに膝上丈のグレーのスカート、藍色のリボンが襟元にあしらわれており、ワイシャツの上には紺色のセーター。どう見てもJKだ。

「曹操って…女の子だっけ?」
隣にいたマシュに思わず尋ねた。
「いえ、私の知る上では男性伝わっています。」
マシュ驚いている様子だったが、ですが、と話を続けた。
「アルトリアさんや武蔵さんの様な事例も珍しくはないので…」
確かにそうだ、と立香は妙に納得した。
アーサー王だって宮本武蔵だって沖田総司だってみんな女の子なのだ。このカルデアにおいて、現代に伝わってる性別と実際は違う(武蔵は特殊な事案だが)ことは大方珍しい事ではなかった。

「えぇ…ここ、どこ?」
曹操と名乗ったサーヴァントが声を上げた。明らかに先程までとは様子が違う。
よく見ると赤かった目の色が、髪の毛と同じ瑠璃色になっていた。辺りを見回していた瑠璃色の瞳が立香とマシュを捉えた。
「そして…誰?」
少女は相当困惑しているようで、それ以上言葉を発せる様子ではなかった。