パンツ、何色?
角名倫太郎(変態)×平凡運動部男主
キャラ崩壊注意
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「はぁ〜、6組の○○さんの可愛さ、やばいよなぁ」
昼休み、絶賛片思い中の心の内を自販機の前でぼやく。
隣には同じクラスの角名がパックジュースのストローを咥えて立っていた。
「…誰それ」
「え、○○さん知らねえの?角名、やばくない?めっちゃ可愛いじゃん」
「ふうん。先週は5組の女子のこと言ってなかったっけ」
そう、先週まで俺は5組の女子へ片思いしていたのだが…。
「…彼氏出来たらしい」
「ふっ」
「笑うなよ」
「で、次は6組?早くない?」
「いや、朝女子同士で歩いてるとこ見かけてさ、笑った顔にキュン、てきた」
「それだけで?なまえ、ヤバいね。で、今日パンツ何色?」
「……自分の方がヤバいの分かってるか?」
いきなり人のパンツの色を聞いてきた角名に俺は引き気味で横に移動して、距離を取る。
この角名倫太郎という男は、涼し気な顔をしておきながら、ことある事に、毎日、人のパンツの色を聞いてくる。
何故か、と聞くと俺が好きらしい。
何故?ナゼナゼナゼ?
俺は6組の○○さんみたいに可憐な少女でもなければ、女子でもない。運動部所属、170cm超え、自分で言うのはなんだけど結構良い体つきをしていると思う。
角名の体格には負けるが、俺も一応男子としてはそれなりに鍛えているのだが…。
聞くところによると、一年の時に俺に話しかけられてからそのような如何わしい気持ちを持ったらしい。
角名と初めて話した時のこと。
同じ運動部の友達と帰ろうとしていた放課後
、男子バレー部の練習風景がチラッと見えて、身長高い奴多いなあ、と小並感の呟きをしていた。
ネットの近くでボールを叩き落とす黒髪の切れ長な目をした男子は廊下で見た事があるな、という程度の印象で、俺には男バレ部=双子のイメージしかなかった。
開け放たれたドアからバレーボールが外に転がって出てきた。思わずそれに手を伸ばして、軽いボールを拾う。
「角名ーっ、ボール取ってこい!」
遠くから聞こえた声により、体育館から出てきた黒髪、無表情の長身男子。
「おっ、角名やん、お疲れ〜」
「…お疲れ」
一緒に帰ろうとしていた部活の友達が角名という男子に声をかけた。ああ、コイツら同じ組なのかと把握する。
俺の友達の友達なら、皆友達!と俺達の部活は皆そういう性格で陽気な雰囲気のため、俺も馴れ馴れしく笑ってボールを差し出した。
「バレー部、すごいな!めっちゃ高い位置から叩くのかっこいい!」
「あ、角名、こいつ1組のみょうじ〜」
「はい、ボール。練習、頑張ってな〜!俺ら先帰るわ〜お疲れ!」
角名の返事を待たずに、ボールを手渡して歩き始める。
「ハッハッハ!みょうじ!お前、角名と初対面やろ!何、今の!『先帰るわ、』とか友達か?!」
ワハハハ、と大声で笑う部活仲間達に「俺、コミュ力の塊だからなあ」と当たり前のように言うと更にウケた。
「角名も反応出来てへんし、無理矢理感半端ないわ」
「コミュ力の暴力!」
「俺らの中で一番、距離感バグってんねん」
ワハハと笑いながら、いつものように賑やかな帰路についた。
そう、それが角名と初めて話した時のこと。
距離感が一番バグっていたのは俺じゃなくて、今横に立っている角名だ。
あれから、角名は俺に近づいてくるようになった。最初は、普通の会話だったはずだ。「おはよう」とか「じゃあまた明日」とか「何が好き?」とか。
基本誰でもウェルカムな俺は、無表情無気力なあの角名倫太郎が懐いてくれたと嬉しくて、聞かれた連絡先も快く交換した。
角名の言動が段々可笑しくなってきたのは2年に上がって同じ組になった頃。
「好きな人いる?」「誰?」「何組の女子?」「やめた方がいいよ」「俺にしといた方がいいよ」「○○さん彼氏できたらしいよ」「諦めて俺にしたら?」
そんな言動が続いた今や「パンツ何色?」を聞かれるまでに至った。
なぜ俺が好きなのか?
「笑顔で頑張れって言ってきたから」らしい。
そんなこと言ってくれる女子はいくらでもいるだろう!!
俺だって、女子から「みょうじくんっ!頑張れ!」って笑顔で言われたら一発で惚れる自信はある。女子なら!!
角名は顔も整ってるし、密かに角名のことが好きな女子はいるはずだ。それなのに、あろうことか俺が好きだとは…。
「人のパンツ聞いて何が楽しいんだよ」と聞くと
「パンツの色を答えるなまえにムラっと来るから」らしい。変態通り越して、恐怖でしかない。
無論、俺はパンツの色を答えたことは…、なくはない。
最初は答えていた。ノリってあるじゃん。ノリで「え?今日は黒〜っ!」とかコミュ力高い俺は笑って答えていたんだが、調子に乗った角名が毎日聞いてきて「グレー」と答えた日には「濡れたらシミが目立つね」なんて言ってきたから、その日から一切答えなくなった。
怖い、本当に怖い。
パンツの色を答えなくなったら、さりげなくトイレについてこようとするから、まじでやめてほしい。
「角名くん、君は目がおかしいから一回眼科行った方がいいよ」
「動体視力は良い方なんだけど」
でしょうね。バレーしてるならそうでしょうとも。だが、俺が言っていることは違うんだよ!!
毎日毎日、人のパンツの色聞いてきやがって。こうなれば、俺も反撃してやろうと思った。
「角名ぁ、角名は何色なんだよ」
ニヤリと笑って隣に立つ角名を見上げる。
185cmもある身長に、見下ろしてくる顔は無表情だ。チベスナ顔の角名は黙った。
「……」
おお、いい反応。これは困ってるな。
「知りたい?」
「うん。言ってみ?どうだ、恥ずかしいんだろ、まさか今日はキャラクターだったりして〜?」
角名がキャラクターもののパンツ!!
面白すぎて自分の想像だけで噴き出した。
ニヤニヤと笑って茶化していると、角名がパックジュースを片手で潰した。
ベコッと言う音と共に潰れた紙パック。いきなりの怪力に俺はニヤニヤから一転、驚愕の顔でその手を見つめた。
ガコッ、とゴミ箱に投げ入れた後、角名は口角を上げた。
「教えてあげる」
え、、なんかその笑顔怖い。
「いや、やっぱり…「知りたいんでしょ、見せてあげるから今から空き教室行こうよ」
「いや、いいっす、まじで遠慮します」
「見せてあげるから、ほら」
角名の手が俺の腕を掴んだ。涼しい顔して、力がバカ強い。
「いやぁぁぁっ!!!誰かぁぁっ!助けてぇぇっ!!」
このまま連れ込まれたら、何かを失う予感がして必死で叫ぶ。
狙われる俺の貞操。必死で助けを求めた昼休み。誰も手を差し伸べてくれる人はいない。大柄な角名にずるずると引きずられていく。
「やめてよっ!変態!」
「なまえが見たいって言ったんじゃん」
「見たいとは言ってない!知りたいって言っただけ!」
「実物みた方が早いよ」
「何が早いんだよ!!」
助けてぇぇっ!
これが俺の日常。
貞操を守り、無事に高校卒業できるのだろうか…アーメン。